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弁護士ブログ

2010/03/24

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 通勤はできるだけ歩くようにしているから,雨の日の今朝も傘を差して事務所まで歩いてきた。ゴルフの時はともかくとして,雨は別に嫌いではない。すれ違う際に,「江戸しぐさ」でいう傘かしげをしない人が増えてしまったことは残念であるが。

 

 雨の日は,家の窓から外を眺めていても,外を歩きながら傘に落ちてくる雨の音を聞いていても,ショパンの「雨だれ」という前奏曲(プレリュード)をいつも連想するし,聴きたくなる。24の前奏曲集の15番目の変二長調の曲であるが,冒頭からずっと奏でられる左手の八分音符のリズムが,いかにも雨だれを連想させる。中間部は底知れぬ不安な心理を象徴し,徐々に雨も小やみになり,最後の数小節はようやく雨も止んで,雲間あるいは木々の葉の間から薄日が差してきたような情景が浮かぶ。ショパンは「ピアノの詩人」と称されるが,この曲なんかを聴いていると正にそのような表現がピッタリである。

 

 僕がこの曲を一番最初に聴いたのは小学校6年生のころであり,ショパンの伝記も読んだりした。それによると,この「雨だれ」という曲は,ショパンがジョルジュ・サンドと一緒にスペインのマジョルカ島で療養している時期,ヴァルデモッサのカルトゥハ修道院(僧院)で作曲されたようだ。冬の期間でもあり,寒くて雨がちの地中海の気候は,結核療養中のショパンの健康には良くなかったという。僕は小学生のころ,一度はショパンの追体験をしようと,このマジョルカ島へ行ってみたいなと思った。その後,その気になれば行けたとは思うが,結局はこの島を訪れることなくこの歳になってしまった。いつかはここを旅行してみたい。それに,ここ15年くらいの間はバッハ一辺倒の感じだったが,今年はショパン生誕200年の記念の年でもあるから,もう一度ショパンの作品を味わいなおしたいと思う。

2010/03/19

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 先日車で移動している最中に,ブラームスの弦楽六重奏曲第1番の第2楽章の甘美なメロディーに接した。とても久し振りだった。それ以来,ここ数日,自分でそのメロディーを意識的に「再生」しようとしなくても,自然に頭の中でぐるぐる回ってしまっている。

 

 この弦楽六重奏曲第1番の第2楽章の甘美なメロディーは,ルイ・マル監督の「恋人たち」という映画の中でもとても効果的に使われている。独身時代に映画館でこの映画を観たときは,いいメロディーだなと思った。その映画に出ていたジャンヌ・モローという女優も魅力的であった。若干唇が厚めだが,名女優といって良く,その当時はモローの出ている映画を立て続けに観たものだ。やはりルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」,フランソワ・トリュフォー監督の「突然炎のごとく」など。これらは,いわゆるヌーヴェル・バーグと呼ばれる作風のもので,ルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」では,モーリス・ロネという俳優がこれまたとても印象に残る演技をしていた。この俳優が主演している映画でその他にお勧めなのが,やはりルイ・マル監督の「鬼火」である(そういえば,この映画ではエリック・サティの音楽がこれまた効果的に使われていた。人によっては,エリック・サティの旋律も頭の中でぐるぐる回るであろう。グノシェンヌやジムノペディなど)。

 

 むちゃくちゃに話が脱線したが,音楽の話に戻すと,ブラームスは天才的なメロディーメーカーだと思う。印象に残るものが多い。交響曲第3番の第3楽章の甘美で感傷的なメロディーも頭の中でぐるぐる回りそうだが,これも「さよならをもう一度」という映画に使われているそうだ。以前このブログでも書いたが,「子守歌」も好きだし,変イ長調のワルツ(作品39の15番目のやつ)も素晴らしいメロディーである。

2010/02/22

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 僕の誕生日は6月6日だから,ぞろ目である。今日は2月22日で,僕の結婚記念日である。これもぞろ目といえばぞろ目である。それに今日は平成22年2月22日と,見事に2が並んでいる。「22-2-22」という記念すべき印字のある乗車券を求める人も多いと思う。

 

 僕の結婚記念日がなぜ2月22日になったかというと,この日は大好きなショパンの誕生日だったからである。その頃に結婚することになっていたので,それじゃあせっかくだからショパンの誕生日に合わせてみようと思ったのである。ショパンの誕生日としては3月1日説もある。でも僕が子供の頃に読んだ伝記では2月22日になっていたし,その後の文献でも2月22日とされているものが多かったと思う。

 

 そういう訳で,久し振りにショパンの「子守歌」を聴いてみた。癒される曲である。小学生の時に初めてこの曲を聴いた際には,正直いって「変なメロディーだな。」と思った。人口に膾炙し,分かりやすいメロディーのモーツァルト,シューベルト,ブラームスのそれぞれの「子守歌」とは少し感じが違う。でも,改めて聴いてみるとこのショパンの「子守歌」もとても優しくて,佳い曲である。さきほど挙げたいくつかの「子守歌」の中では,ブラームスの「子守歌」が一番好きである。このメロディーは,どことなく同じブラームスのワルツ集(作品39)の第15番目のワルツ(変イ長調)のメロディーに似ている。これは佳い曲である。

 

 話を元に戻すと,今年はショパン生誕200年である。今年も4~5月の連休中に東京国際フォーラムなどでは「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(熱狂の日)音楽祭2010」が開催される。今年のテーマは「ショパンの宇宙」だそうだ。生誕200年を記念してのことであろう。去年もこの催しでバッハのミサ曲ロ短調を家族で聴きに行った。今年も,もしその頃の暮らし向きが良ければ行ってみたい。

2010/02/09

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 昨年の11月7日(土),不肖私めも第2コーラスバスパートの一員として,バッハの「マタイ受難曲」の演奏に加わった。このことは以前にもこのブログで触れたが,昨日その演奏を収録したDVDが事務所に届いた。コーラスのメンバーが届けてくれたのだ。ありがたい。

 

 早速,昨晩そのDVDを全曲視聴してみた。勿論僕はソリストでも何でもないから大勢の中の一人として小さく映っていたが,我ながらよく頑張っている姿だった。合唱団の演奏としては完成度が高くないのかもしれないが,聴いていてそれなりに感動できる。ソリストやオーケストラの演奏は素晴らしい。約一年間の練習の成果が集約されたDVDだから,とても愛着があるし,一緒に練習を積んだメンバーのそれぞれの表情を見ていて,本当にやってよかったなと心から思えるのである。

 

 このDVDには,我々の黒地の衣装群に混じって白地の衣装で臨んだ可愛いこども達の姿も映っている。非常に通る声で,僕たちもとても心強く感じたのだが,演奏していないときにはあどけない顔で眠そうにしていたり,あくびをしたりといったご愛嬌のシーンもある。

 

 また,どのソリストも素晴らしい演奏だったのだが,とりわけ後方で聴いていて感動したのが,ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者の平尾雅子さんである。とても素晴らしい演奏であった。特に,第57曲目のバスのアリア「来たれ,甘い十字架」の伴奏は感動したし,第35曲目のテノールのアリア「忍べよ!忍べよ!」の伴奏も凄い。合唱団の一員としてこの平尾雅子さんの後ろ姿しか見えなかったが,DVDで改めて拝見させていただくと凜として美しい方で,賢人の風情があり,何よりもヴィオラ・ダ・ガンバを心から愛しているという雰囲気が伝わってきた。このような演奏家と同一ステージに立てただけでも貴重な体験である。いずれにしても,今回の「マタイ受難曲」体験は,僕の人生の中でもとりわけ大きく,このDVDは記念碑的な存在となろう。

 

 時空を超えた素晴らしきもの,それはバッハの「マタイ受難曲」。

2010/02/02

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 さあ,またとりとめのない話が始まるぞ。

 

 僕の低体温改善のためのスロートレーニングは順調である。その最中はとても辛いけど。最初のうちは,このスロートレーニングは朝にやる方がいいのではないかと思っていたが,出勤前にやるのはやめた。今は冬だからいいけど,夏場は恐らく汗びっしょりになってしまって大変だ。そういう訳で,今は夜に行うことにしている。理由は4つある。第1に,朝のスロトレは辛く,出勤前に疲れてしまう。第2に,成長ホルモンは午後11時ころから午前2時ころまでの間に最も多く分泌されると聞いたことがあるので,やはり夜にスロートレーニングをした方がいいという素人考えに基づくものである。第3に,さきほども述べたが,夏場などにスロトレで汗をかいて出勤するのはどうかと思うし,夜に汗かいても入浴できて衛生的である。第4に,夜にスロトレを行うと,適度な疲れに導かれてふとんの中に入り,本当にグッスリ眠れるのである。

 

 また,低体温解消のためには,半身浴も続けているし,クナイプ社の岩塩入浴剤もとてもいい。前にも言ったが,クナイプのオレンジ・リンデンバウム(菩提樹)が好きだし,体がよく温まる。それにしても,特に冬に暖かい毛布とふとんにくるまってこれから眠ろうとする時が一番幸せである。思わず自分自身に「おやすみ」と言いたくなる。

 

 1月31日はシューベルトの誕生日だそうな。短命に終わった作曲家だけど,今の季節は連作歌曲集「冬の旅」を想い出す。シューベルトのピアノソナタなんかを聴いていると,失礼ながら冗長な印象をもつこともあるが,シューベルトの歌曲は本当に素晴らしいと思う。「冬の旅」も古くはハンス・ホッター,そしてディートリヒ・フィッシャー=ディースカウで味わったものだ。この「冬の旅」には,第5曲目の「菩提樹」や第24曲目(終曲)の辻音楽師など素晴らしい曲がちりばめられているが,何故か昔から一番好きだったのは第1曲目の「おやすみ」であった。

2010/01/18

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 僕とクラシック音楽との意識的な最初の出会いは,ショパンのピアノ曲だったと思う。小学校6年生のころから高校2年生ころまでの間は,ほとんどショパン一辺倒だった。今年は2010年だから1810年にポーランドで生まれたショパンの生誕200年記念の年であり,いろいろなイベントが企画されている。

 

 僕もこれまで様々なショパンの伝記を読んできたが,「この一冊」として現在でもお薦めなのが「ショパン」(カシミール・ウィエルジンスキ著,野村光一・野村千枝共訳,音楽の友社)である。なぜこの伝記が素晴らしいのだろうか。ひとことで言うと,著者もショパンと同じポーランド人で,同国内の豊富で新規な資料(書簡なども含まれるであろう。)に基づいて著作されており,特にショパンがパリに定住する以前のポーランドでの半生に関する叙述部分が豊富なのと,書簡などに基づいた心理描写に詳しいからということになろう。この本の訳者あとがきの箇所には,訳者の野村光一氏が次のように述べている。

 

 「・・・そのうえ、彼はその著述に当り、同郷の便もあって、今日まで西欧諸国には未発表のままになっていた、ショパンが祖国に遺した多くの文献を入手して、これを使用する好機を得た。本書中におけるその顕著なる一例は、ショパンが他界するまで彼と親交があり、特にその死の床で独唱を行なったことで名高くなった麗人デルフィーヌ・ポトツカに関する記述であって、これは従来西欧あるいはアメリカで公刊されたいかなるショパン研究書にも見出し得ぬ、新資料による珍しい叙述である。・・・・・・・ひいてはまた、そのために本書ほどショパンの発育時代について紙数が費やされている著述もないのである。」(426頁)

 

 僕はこの本を店頭で手にした際,すぐに気に入った。根拠となる資料も確かなものだし,心理的な描写も多い。ショパンの気持ちはショパンしか判らないのは当然であるとはいえ,心のどこかでこの著者がショパンの同郷人として似通ったメンタリティーをもっているのではという期待もあった。実際に読んでみたが,情報量も豊富で,現存する書簡などからの引用部分も多いため,リアリティーをもって読み進むことができ,読後もとても満足のいくものであった。ショパンの伝記で物足りなさを感じている人があるなら,やはりこの伝記を薦める。この本の序の部分には,20世紀最大のピアニストの一人であるアルトゥール・ルービンシュタインの次のような推薦の言葉もある。

 

 「私はショパンにかんする著書を読むことが非常に好きである。それによって、私はいつも非常に喜びを感じてはいるが、しかしそれにもかかわらず、ショパンの大部分の著書は、なお満足に遠いものである。・・・・・・・・・彼の微妙な正確さと、手法の節約とは、彼の動揺する熱情と、深刻な感情から切り離しがたいものである。一方では妥協を絶対に排する英雄主義と、他方では至高の繊細さと感受性を-彼の世界はあらゆる豊かさをもって、この二極地の間を循環しているものである。この異常な特色の結合が、いかにしてショパンの生涯を構成したか、ということは本書に語られているところであって、彼の音楽、および人間についての理解を広めたい人人に、私が本書を薦める所以もまた、ここにあるのである。」(2~8頁)

2009/12/25

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 僕の家にあるピアノはどこにでもあるようなごく普通の黒のアップライトである。敢えてほめるとすれば,夜間でもヘッドホンで練習できるようなサイレント機能がついていることである。今の住宅に引っ越した際,僕としては日当たりが良くて少し広いリビングにこのピアノを置こうと考えた。でも,実際に引っ越し屋さんにこのピアノをリビングに設置してもらおうとしたら,何をどうやってもピアノが入り口を通過せず,リビングに設置することが不可能であることが分かった。入り口の間口が狭すぎたのであろう。

 

 結局このピアノは,北側のほとんど日の当たらない小さな部屋に置かれることになった。ピアノの上には,バッハの白い像が置かれ,その横にはバッハ没後250年(西暦2000年)を記念した絵皿(レリーフ)が飾られている。でも,ここのところこのピアノが弾かれる機会がほとんどない。ピアノがちょっと寂しげなのである。朝の出勤時,同じ部屋のクローゼットの中にあるコートを取り出すとき,いつもこの寂しげな感じのピアノを目にする。

 

 僕の理想は,例えば今頃の季節だったらこの部屋を暖かくして,コーヒーなどを飲みながら,ものにしたい意中の曲を少しずつ練習してマスターしていくような,ちょっと達成感のある趣味の愉しみ方をしたいということ。しかし,近頃これを妨げているのは,仕事に追われて精神的な余裕と時間が少ないことと,晩酌の機会が増えていることである。ただでさえスキルが低いのに飲酒して練習しても上手くはならない。

 

 でもこの状況がずっと続くとは思えないし,続けないようにしたい。晩酌の機会は自分の意思で減らせるし,仕事面だって今後なんとかなるし,していきたい。やりようによっては好きな趣味を楽しめる精神的余裕は確保できるのだ。前にもこのブログで触れたかもしれないが,今僕がものにしたい意中の曲は,ショパンのイ短調のワルツ(作品34の2)とバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻の第1番のフーガである。まずはこの2曲を少しずつでも練習して何とかものにしたい。

2009/11/27

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 平成20年11月28日,このホームページが世に誕生するとともに,この拙いブログも産声を上げました。全国6185万人のこのブログファンのために(爆笑),何とかまめに更新してきました。皆様のおかげでブログ1周年記念の節目を迎えることができました。深く感謝いたします。これからも,浅学非才ながらも,老骨にむち打って何とか続けたいと思っております(ここまでは,ですます調)。

 

 さて,唐突だが,エリック・サティを久しぶりに聴いてみた。サティの曲はあまり詳しくはなく,僕が知っている曲もお馴染みのものである。そこで,「3つのジムノペディ」,「3つのグノシェンヌ」を聴いてみた。・・・・・・あぁ,こういう曲を聴いていると,もう事務所に行きたくなくなる。要するに,一日中,家の中でまったりしたくなってしまうのである。だから,こういう曲を平日の朝に聴いてはならない。平日に聴くならば,一日の仕事が終わって夜自宅でくつろいでいる時であろうし,そうでなければ休日だろう。とても佳い曲なのだが,勤労意欲の方が危うくなるのである。

 

 ジムノペディの中では,やっぱり1番が1番いいし,グノシェンヌの中では,やっぱり1番に1番魅力を感じる。特に,グノシェンヌの1番は,何やら妖しい雰囲気を醸し出し,独特の魅力がある。以前にもこのブログで書いたが,細身の美女が薄着の衣装で妖艶な踊りをしているような雰囲気なのである。グノシェンヌの1番は凄い魅力を秘めている。

 

 その他には,これも有名な「ジュ・トゥ・ヴー(Je te veux)」がいい。それと,「パラード」や「梨の形をした3つの小品」もたまにはいい。サティは音楽会の異端児などと評されているが,作曲技法などはあの印象派のドビュッシーやラヴェルにも多大の影響を与えているそうだ。酒場(文学酒場の「黒猫」など)でピアノを弾いて生計を立て,ほとんどいつも貧しかったようだ。でも,サティは,青少年の育成を目的とする団体でボランティア活動をしたり,自分でピアノを弾きながら孤児たちにコーラスを教えたり,ソルフェージュ教室を開いたりしていたという。孤独ではあったが優しい人だったのだ。

2009/11/11

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 あまりしつこくなってもいけませんが,「マタイ受難曲」上演当日の思い出を続けます。第1部と第2部との間に約20分間の休憩があったのですが,楽屋に戻ってお茶を入れてなどといった時間的余裕も精神的余裕もありません(笑)。トイレ休憩の後に,再び第1コーラスと第2コーラスとが舞台の下手と上手に分かれ,舞台袖の所で整列です。第1部の最後の29曲目の大コラールでは,「調子に乗って合唱のテンポが早くなったな。」,「もっと指揮者のタクトを見ないといけないな。」などといった反省の言葉が各員から聞かれました。確かにそのとおりでした。総譜(スコア)にばかり目をやっていてはいけません。

 

 いよいよ,第2部の始まりです。イエスが捕縛された後,尋問,裁判,ペテロの否み,ユダの自殺,ゴルゴタの丘への行進,磔刑,埋葬へと続いていきます。特に有名な第39曲(憐れんでください)のアルトのアリア,第42曲(私のイエスを返せ)のバスのアリアは,合唱団員として背後で聴いていても感動するできだったと思います。第1バイオリンと第2バイオリンのそれぞれの筆頭格の各演奏(伴奏)も素晴らしかったと思います。それと印象的だったのは,第57曲(来たれ,甘い十字架よ)のバスのアリアの際の,ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏(伴奏)の素晴らしさでした。細身の女性ですが,卓越した技術を駆使した渾身の演奏で,その後に得た情報では,指揮者直々のご指名だったそうです。さすがでした。

 

 僕も,第2コーラスのバスの一員として,約1年間の練習の成果を発揮しようと頑張りました。間違えた所もありましたし,自信のない所は口パクでした(笑)。でも思いのほか,頑張ったのではないかと思います。いよいよ終曲では,絶対に泣いてはいけないと自分に言い聞かせて臨みました。幸い泣きはしませんでしたが,感動しながら唱っておりました。僕にとっては大恩ある方の奥様が,当日券を何とか購入して鑑賞に来てくれたそうです。直後にその奥様からハガキをいただき,終曲の時は涙が止まらなかったと仰ってくださいました。ありがたいことです。人に感動を与える演奏の一翼を担うことができるなんて。

 

 このようにして僕のマタイ受難曲体験は終了しました。打ち上げ会は,演奏終了後ほどなくして,指揮者,ソリストのほとんどを交え,和気藹々と行われました。特に僕の印象に残ったのは,少年少女の合唱指導に当たられた先生が,その挨拶の時に感極まって落涙されたことです。恐らく,良い仕事ができたという達成感と,何よりもバッハのマタイ受難曲に対する思い入れがあったのではないかと推察いたします。その気持ちはとてもよく分かります。その後に催された2次会もとても楽しかった・・・・・。

 

 さて,僕は,バッハのマタイ受難曲を歌いたい一心で合唱団に入団しましたが,仕事が多忙であることもあり,その目的を達し,このたび退団です。これは最初からの予定でした。でも,このような活動の素晴らしさは実感しました。バッハの曲であれば,何とか仕事と折り合いを付けてでも参加したいなという気持ちはあります。そのような虫の良い入退団が許されるのかどうかは分かりませんが,将来,ふたたびバッハの曲が演目として選ばれたら,さながら子羊のような姿でオーディションを受けてでも(笑),再びこのような貴重な体験をしたいと思っております。

2009/11/10

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 子羊のような姿で入場したものの,実際にステージに立って見ると,晴れがましくもありました(本日もいつになくですます調です)。総譜(スコア)を見ながらの合唱ですから,着用したメガネは老眼用です。ですから,客席の聴衆のお顔はぼやけていてよく分かりませんでした。でもその方が緊張しなくてかえって良いのでした。

 

 コンサートマスターによる音合わせの後,静まりかえったホール。指揮者の登場を待ちます。緊張します。でもこの時,われわれ合唱団のすぐ前に位置していた40歳代と思われる男性のファゴット奏者が,後ろを振り返り,右手の親指を立てて「大丈夫」といったような仕草をして勇気づけてくれました。優しい人なんだと思いました。また彼もそのようにして自分の緊張もほぐしていたのではないでしょうか。

 

 指揮者登場。冒頭合唱曲の出だしの段階で,早くも胸に迫り来るものがありました。「深沈とした、管弦楽の前奏。・・・・・ゴルゴタへ向けてのイエスの一行の、重い歩みを聴く。」(マタイ受難曲125頁,137頁:礒山雅,東京書籍)とあるように,厳粛で悲痛な出だしです。さあ,いよいよ始まりました。一年間の練習の成果を発揮するぞー・・・・・・。

 

 相当に緊張しておりましたが,最初に発声して以降は大分気分が落ち着きました。サッカーでもボールへのファーストタッチ後は選手も気が落ち着くのと同じでしょう。やがて,少年少女たちによる「おお罪なき神の子羊(O Lamm Gottes,unschuldig)・・・・・・・」の部分の力強く美しい声がホールに響き渡りました。素晴らしい。あー,子どもたちも頑張ってるんだ。この力強くも美しい声にどれほど勇気づけられたか。どれほど士気を高められたか。

 

 その後,いくつかのコラールもそれほど大きなミスもなくできました。このマタイ受難曲は,第1部と第2部に分かれ,演奏時間約3時間を要する大曲ですが,第1部の途中からは,緊張してミスを恐れるという心理状態よりも,この曲に関わることのできる人生でも極めて貴重な体験を味わおうとする精神的な余裕も出て来ました。

 

 それと同時に,ステージ上で,この曲の凄さを鑑賞することもできるという贅沢な状況でもありました。第11曲の中には,イエスが,裂いたパンを「私の体」であると言い,杯のぶどう酒を「私の血」であると言って,弟子たちに味わわせる場面があります。その際にアリオーソ風に歌われる4分の6拍子の堂々たる,美しいメロディーが途方もなく好きです。じーんと来るんです。これを本当に間近で聴くことができました(イエス役のソリストは私のすぐそばで声高らかに唱っていたのです)。特にこの時は,僕も聴衆の一人として感動したのでありました。

 

 このようにして,どんどん曲が進み,第29曲の大コラールもとても気持ちよく歌い終え,第1部の終了。プレーヤーも聴衆も約20分間の休憩とあいなりました(続く)。

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