名古屋の無料法律相談ならあかね法律事務所


無料法律相談受付電話番号052-223-2101

受付時間(平日)
9:00〜18:00

無料電話
法律相談
無料面談
法律相談
アクセス

MENU

弁護士ブログ

2015/07/17

[カテゴリ]

         
 最近,特にお昼ご飯に気をつけていましてね,体重の減量に成功しているんですよ。私の今の体重と,これまでの生涯で最大だった体重とを比較しますと,6キロも違います。スーパーで5キロ入りのお米を見ますよね。持ち上げてみると結構重いんですよ。6キロも痩せるというと,相当の減量に成功したなという感じです。逆に言うと,あの5キロ入りのお米以上のモノが自分の身にまとわりついていたかと思うと,ゾッとします(笑)。

 

 どうやら中国経済のバブルも明らかにはじけかけていますね。実体経済を反映していない,実力とは大きく乖離した状況をバブル経済と呼びます。IMF(国際通貨基金)もついに中国経済(正確には株式市場)のバブルが崩壊したと明言しましたね。当たり前です,この中国株式市場の暴落ぶりは悲惨です。7月8日には1300を超える売買停止銘柄が出て,これは全体の半分に相当します。同じ日,中国政府は国有企業に自社株買いを要請しました。やはり同じ日,中国の証券監督当局が,上場企業の経営陣や大株主による6か月間の株式売買を禁止しました。翌9日には中国の公安幹部が「悪意ある空売りには容赦なく取り締まる」と物騒な発言までします。・・・・・もう,到底マーケットとは呼べません(笑)。

 

 所詮,あんな中国共産党みたいな存在が経済を統制するなど,土台無理なのです。国際標準の,そして正常な国際経済,市場に参入する資格そのものがなかったと言うべきです。

 

 でもまたまた中国共産党はおかしなことをやっていますよ(笑)。中国の国家統計局は,今年4月~6月期の国内総生産(GDP)が,物価変動の影響を除く実質で前年同期比7.0%増だったと発表しました。おい,おいホントかよ?(爆笑)産経新聞の記事では,中国の製造業も1月~6月の工業生産は僅かに減速しているし,輸出入や消費も振るわず,実体経済がことごとく成長鈍化をみせる中で,「GDP統計だけが〝独歩高〟となった形だ。」などと少し意地悪な表現をしています(笑)。

 

 もっともっと突っ込んでいいよ(笑)。だって,通常はGDP統計の指標として客観的で信用できるものは,鉄道貨物輸送量と電力消費量なのですが,中国はこれらは横ばいか減少しているのに,なぜかGDPだけは7%増と「死守」されているのです。もとより中国のGDP統計では,地方政府がそれぞれ発表する統計数値を合算した場合,国家統計局の発表より10%以上も多いケースが何年も続いているのです(爆笑)。明らかに水増しです。

 

 中国の場合,発表される統計数値も所詮は「バブル」なのです。

2015/07/10

[カテゴリ]

         
 「日本は従軍慰安婦として20万人もの朝鮮人女性を強制連行して『性奴隷』にした」などと嘘八百を並べて,反日的ロビー工作でアメリカやオーストラリアなどで慰安婦像を建てようとする。

 

 明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録に最後の最後まで難癖を付けては嫌がらせをする。

 

 欧米への歴訪の過程で大統領が外交儀礼を欠き,日本の悪口を言いふらす。

 

 こういうことが次から次に起こりますと,いくらお人好しの日本人でも韓国という国が嫌いになりますでしょう。当然ですよね。何かにつけてここまで日本を貶めることに血道を上げている国や民族には辟易します。

 

 でも,そろそろこの韓国の異常さに世界も気づき始めているようです。少し前の産経新聞の「あめりかノート」というコラム記事で同新聞社ワシントン駐在客員特派員の古森義久さんが興味深いことを書いておられました。それによると・・・。

 

 東アジアの政治や歴史を専門とするロバート・ケリー氏が「なぜ韓国はここまで日本に妄念をいだくのか」という論文を書き,これが「ディプロマット」というアジア外交問題雑誌に先月掲載され,米国側専門家のネット論壇でもすぐに紹介されて,一気に熱い反響を生んだようです。

 

 ケリー氏はこの論文で近年の韓国暮らしの体験からまず「韓国で少しでも生活すれば、韓国全体が日本に対し異様なほど否定的な執着をいだいていることが誰の目にも明白となる」と書き出し,「異様な反日」の実例として韓国の子供たちの旧日本兵狙撃遊びから日本軍国主義復活論や米国内での慰安婦像建設ロビー工作までを指摘しています。この論文では,「だから日本を悪と位置づけ、たたき続けることが韓国の民族の純粋性のレジティマシー(正当性)誇示の絶好の方法となる」と述べられ,韓国官民の反日傾向を病理的な「強迫観念(オブセッション)」と分析しています。

 

 実際に,アメリカにおいては,「韓国の文句にはもううんざり」,「韓国疲れ」という現象が徐々に見られ始めています。オバマ政権のウェンディ・シャーマン国務次官は最近の訪韓で歴史問題について韓国に注文をつけ,韓国の反発を買ったということもありましたし,ブッシュ前政権の国家安全保障会議でアジアや韓国を担当したビクター・チャ氏やマイケル・グリーン氏も最近は韓国の対日姿勢への批判をにじませるようになりました。

 

 古森さんのこのコラムでは「日韓関係の真実がやっと米国側でも知られてきたということだろうか。」と締めくくっています。数年前,私が大阪家庭裁判所へ調停の事件出張に行った際,帰りの新幹線の客室の中で古森さんを見かけたことがありました。何やら一生懸命パソコンのキーを叩いて書面を作っていました。頑張ってますね。

 

 それに韓国,最近では日本のランドセルが可愛くて実用的でもあるということで欧米の大人の人気が高まっていることをやっかんでか,ランドセルが軍国主義を連想させるなどと,また新たないちゃもんを付け始めています(笑)。実に厄介です。

2015/04/17

[カテゴリ]

          
  原子力発電所の設置,稼働についてはいろいろな見解があるとは思いますが,端的に言えば,このたびの福井地方裁判所の仮処分決定,つまり関西電力高浜原発3,4号機の再稼働を認めない旨の仮処分決定は疑問に思っております。

 

 実はこの担当裁判官(判決手続では正確には合議体の裁判長)は,昨年5月にも大飯原発3,4号機の再稼働差し止めを命じる判決を言い渡しております。今回の仮処分決定の内容を精査しますと,一言で言うとこの裁判官の頭の中にはその人生観,価値観としてまず「脱原発」という確固たるものがあるのでしょうね。まず最初にこの結論があるのです。「必要悪」という言葉がありますが,この裁判官の頭の中には原子力発電なるものは,まず悪であるし,必要でもないという結論が存在してしまっているのでしょう。科学的議論や専門家の知見に対するリスペクトというものが全くありません。こういったものを完全に捨象して,自己の価値観等によって「一刀両断」という振る舞いです。

 

 この仮処分決定の中には,新規制基準について「深刻な事故を引き起こす可能性が万が一にもないような厳格な内容を備えているべきだ」という記載があります。でも,この世の中に「万が一」にもそんな危険は起こらないというような完全無欠な物は存在するのでしょうかね。ゼロリスクの証明を要求する方が無理なのですよ。

 

 国の耐震指針作りにかかわった入倉孝次郎京都大学名誉教授(強振動地震学)は,「原子力規制委員会が認めた地震動は、原発が立地する地盤の特性を踏まえた上で考えられる最大程度の揺れといっていい。決定は新規制基準を不合理としたが、明らかな事実誤認で到底納得できない。」と述べております(4月15日付け産経新聞)。

 

 何しろこの裁判官は,大飯原発再稼働差し止めをした判決で,原発の安全性に関する判断には「必ずしも高度の専門的な知識を要するものではない。」とまで言い切っています。

 

 電力の供給の問題は,国民の生活に直結する問題なのです。専門家の知見に対するリスペクトを欠き,素人的な判断をごり押しするのは「司法の暴走」と評価されても仕方ないのではないでしょうか。

2015/04/13

[カテゴリ]

         
 
 統一地方選挙も終わりましたね。大阪府議会と大阪市議会では,大阪維新の会がいずれも第1党の地位を確保しました。橋下徹大阪市長もほっと一息でしょうし,これに気を良くして「大阪都」実現に向けて驀進していくでしょう。でも私は「大阪都」などは反対です。都は天皇陛下がおわします所,ただ一つです。

 

 橋下徹という人物を見ていていると,彼が「ふわっとした民意」を重要視していることからも分かるとおり,民主制の危険な側面,はたまたその行く末に怪獣のように顔を出す僭主というものを連想してしまいます。

 

 ちょっと前にこのブログでもご紹介しましたように,私は隔月刊の「表現者」という雑誌はとても好きでして(キャッチフレーズは「保守」の本質に立つオピニオン誌),最新号の特集「プラトンに倣い、民主主義を疑え」の各記事は本当に面白いです。どの論考も素晴らしく私の腑に落ちる内容でしたが,特に柴山桂太氏(滋賀大学経済学部准教授)の記事が素晴らしい。ちょっと引用してみましょう。

 

「・・・プラトンは、デモクラシーの後にやってくるのは、僭主政治だと述べている。寡頭制の時代であれば、まったく尊敬もされないし支配の役職にもなかったような人物が、新たな支配者として台頭してくる。一昔前であれば遠ざけられていた人物、『そのなかで最も激しいのが演説し行動し、他の者は演壇のそばに席を占めてぶんぶんとうなり、違った意見を述べる者を許さない』。彼が権力につくのは、優れた人格を有しているからでも、仲間から信頼されているからでもなく、演説がうまく、観客を喜ばせる方法を知っているからだ。・・・現在の僭主は、・・・敵を作り出し、敵をやっつけるポーズをとることで、メディアを通して民衆の支持や称賛を集め続ければいい。名誉政治家も金権政治家もいなくなった後に出て来るのは、こうした人気取りのポピュリストである。」(「表現者」59号,69頁)

 

 まるで小泉純一郎や橋下徹のことを述べているようです(笑)。私としては,柴山さんは少なくとも橋下氏を念頭においてこの文章を書かれたということを確信しております(笑)。

 

 それに「民意」というのも曖昧模糊としていて,しかも移り気ですし,さらには有権者はイメージだけで「選良」を出現させてしまうことも多い。橋下維新の風に乗って(いわゆる「橋下ガールズ」),比例復活で当選した上西小百合という衆議院議員が格好の例です。国会議員にとって一年で一番重要なはずの予算案採決を彼女は病気を理由に欠席しました。でもその前夜には居酒屋やショーパブなどをハシゴし,さらには公設第一秘書と一緒に京都の高級温泉旅館にホワイトデー旅行に出かけた疑いもあり,党幹部から事情聴取も受けています。これが「選良」なのですか。議員歳費が年間約2200万円,文書通信交通滞在費が約1200万円,維新の会の場合政党交付金の一人当たりの額が約1300万円,さらには公設第一秘書の給与は年間700万円は下らないと言われており,当選以来これまでに彼らには1億円を超える血税が使われております。

 

 ああ,何としても賢明な有権者でありたい。

2015/03/12

[カテゴリ]

          
  戦後70年ということで,今年は何かと厄介な中国や韓国が対日世論戦を激化させようとしていますし,現に激化させています。挙げ句に戦勝記念70周年として,各国の要人を招き,自らのチベット人大虐殺・弾圧(犠牲者は約120万人),ウイグル族虐殺・弾圧(東トルキスタンの強制的併合,60回以上の核実験による死者・疾病,射殺等によるジェノサイド),自国民の大虐殺(大躍進政策の失敗や文化大革命の狂乱騒動,第二次天安門事件などによる)を全く棚に上げて,グロテスクな大規模軍事パレードをするつもりのようです。でも,日本はそんなものに全く臆することなく,正々堂々と論陣を張るべきです。

 

 日本においては歴史というものについてはちゃんとヒストリー(史実)が語られていますが,中国のそれはプロパガンダ(政治的宣伝)に過ぎませんし,韓国に至ってはファンタジー(そうであって欲しいという願望)の域を出ません(笑)。

 

 悪質な中国のプロパガンダに対しては,評論家の櫻井よしこ氏が説くように「日本の最善の対処は中国の歴史を古代から現代に至るまでしっかりたどり、中国が直接間接に糾弾する『日本の歴史的蛮行』の数々が中国自身の伝統的行動に他ならないことを世界に発信すること」が肝要でしょう。彼らが言う『日本の歴史的蛮行』などといったものは事実無根で,捏造された数々の「蛮行」などは,実は中国の歴史書「資治通鑑」などに書かれている中国人自身の残虐なのです。

 

 中国共産党が一党独裁して導いている中国という国家の傲慢や増長は,とどまるところを知らないようです。確かに中国のGDP(国内総生産)は既にドルベースで日本の約2倍にはなりました。しかしその実態は,「張り子の虎」に過ぎません。

 

 「SAPIO2015年3月号」という雑誌の記事などによると,中国経済といっても未だに日本経済抜きには成り立たず,中国の製造業は日本企業の製品や技術が支えていると言っても過言ではありません。

 

 白物家電でトップクラスの世界シェアを誇る中国の家電メーカー・ハイアールの冷蔵庫を分解してみると,特に上位機種ほど,コンプレッサーなどの基幹部品はパナソニックなどの日本製が使用されています。最近では中国市場に数多くあった日本ブランドの家電製品,携帯電話の影が薄くなってはいますが,ハイアールやダイキンの例に見られるように,基幹部品や技術で多くの日本製が内臓されており,日本企業は「BtoB」に構造転換し,実際には日本こそが中国企業の躍進を下支えしています。

 

 自動車でも同じことが言え,サプライチェーンの上流部,付加価値の高い分野で日本企業の製品は大きな存在感を示していますし,中国で組み立てられるスマートフォン「iPhone6」は,その部品の半数が日本製で構成されているのです。日本の技術や精巧な部品がなければ中国経済は成り立ちません。日本の技術力は半端ではないのです。中国はWTOの国際的ルールに違反し,レアアース輸出規制をするなどしていくら日本に嫌がらせをしても,日本はあっという間に中国なんかのレアアースに依存しないで済む体制を技術的に整えてしまいました。

 

 源泉技術のない中国は,産業スパイやサイバー攻撃,はたまた最近物議をかもしているテロ対策法(技術企業に対して暗号化キーを中国政府に引き渡すことや,中国政府が情報収集するためのバックドアをシステムに設置することをそれぞれ強要する内容で,欧米から極めて強い批判を受けている)などといった姑息かつ露骨な手段で先進技術や情報を盗むしか手立てがないのです。

 

 こういうのを「張り子の虎」といいます。

2015/02/16

[カテゴリ]

         
 さて,この「権力の市場化」シリーズもいよいよ最終回を迎えました(笑)。前回は竹中平蔵という人物への言及がありましたが,それは,日本において着々と,そして徐々に進行している「権力の市場化」やレントシーキングという現象に触れる場合,かつての小泉内閣の時のオリックスの宮内義彦なる人物などととともに,この竹中という人物が思い浮かんでしまったからです。

 

 前回,「市場と権力」(佐々木実著,講談社)というノンフィクション本が竹中氏の実像に迫った力作だと申しましたが,その著者である佐々木実氏のインタビュー記事が「月刊日本」2月号に掲載されております。著者の佐々木実氏は特区法の成立と特区諮問会議の設置によって構造改革派が政策決定を牛耳る仕組みができあがってしまったと警鐘を鳴らしているのです。

 

 第二次安倍政権が発足した当初,安倍首相は竹中氏を経済財政諮問会議のメンバーに起用しようとしましたが,麻生太郎副総理らの反対で実現せず,産業競争力会議の民間議員に就きました。反対した麻生氏らは竹中氏の立ち位置,手法,人物に疑念を有していたに違いありません。

 

 ところが,竹中氏はまずは平成25年4月17日の産業競争力会議の「第1回国家戦略特区ワーキンググループ」を足がかりにし,自ら「立地競争力の強化に向けて」と題するペーパーを用意し,そこには「経済成長に直結する『アベノミクス戦略特区』の推進」の方針が打ち出され,これ以降は竹中氏ペースでどんどん特区構想が主導されていったのです。

 

 同年12月7日には国家戦略特区法が成立し,新たに特区諮問会議が重要政策会議に加わることになり,何と,竹中氏は特区諮問会議の民間議員に就任してしまったのです。麻生氏らに反対されてまずは産業競争力会議の民間議員からのスタートだった竹中氏は,産業競争力会議を拠点にして特区構想を進め,ついに経済財政諮問会議と同格の特区諮問会議の議員に就いた訳であり,巻き返しが成功した形です。

 

 特区諮問会議の今後の動きについては,担当省の大臣が反対しようが何しようが,会議で多数決を握ってしまえば,直接的に選挙の洗礼を受けず民主的な契機がない民間議員らが自らの所属する企業の商売がもっともっとやりやすくなるように政策決定ができてしまうということになりかねません。極論すれば,国益と企業益とが対立する場面で企業益の方を優先しかねない場面も当然に出てくるでしょう。

 

 竹中氏は慶應義塾大学教授という肩書きを有している一方で,大手人材派遣会社パソナグループの会長です。彼が主導する特区構想の中には「民間人材ビジネスの活用」が謳われていますが,利益誘導,利害相反と言われても仕方ないでしょう。オリックスの宮内義彦氏にはじまり,現在では楽天の三木谷浩史氏など,規制改革で利益を得る企業の代表が公然と規制改革に関わる重要会議のメンバーになることが当然のようになってしまいました。薬事法改正案の提出の際,99.8%の薬品のインターネット販売が解禁され,わずか0.2%の薬品が合理的な理由で規制を受けるのみであるにもかかわらず,楽天の三木谷会長は「時代錯誤もはなはだしい」などと毒づき,産業競争力会議の民間議員を辞任するぞ,国を訴えるぞといった趣旨のことを述べましたね。正に国益と企業益とが先鋭な形で対立している場面です・・・。このように薬品のネット販売の可否を議論する場に,あろうことかそれ(ネット販売)を生業とする会社のトップが産業競争力会議の民間議員として名を連ねていること自体,違和感を覚えるようでなければならないのです。

 

 このシリーズの最初の箇所でも述べましたように,「権力の市場化」という言葉の意味を説明するのはなかなか難しいのですが,イメージとしては,権力者に利益(金銭等の経済的利益もあれば,票などの政治的な利益もある)を供与することなどによって権力が事実上買われてしまい,ごくごく一部の強欲な人たちの目論見が政策等に反映されて彼らが超過利潤を獲得し,その反面最終的には国有財産や国民の利益が徐々に徐々に収奪されていく感じ・・・ではないかと思います。このような「権力の市場化」は中国やアメリカだけの現象ではなく,この日本でも生じていることに気づかなければならないでしょう。

2015/02/09

[カテゴリ]

         
 ここに「市場と権力」(佐々木実著,講談社)という本があります。平成25年4月30日に第1刷発行となっていますから,割と新しい本です。私の中では今のところ関岡英之,門田隆将といったノンフィクション作家をとても高く評価しているのですが,この本の著者もこれに加えてもいいかなと思いました。それぐらい読み応えがある本でした。

 

 この本には「『改革』に憑かれた経済学者の肖像」というサブタイトルが付されていますが,その「経済学者」とは竹中平蔵のことです(以下「竹中氏」)。前にもこのブログで触れたことがあるのですが,あの小泉内閣の時の「構造改革」や「郵政民営化」の本当の意味,そしてその内閣の閣僚として得意満面に大なたを振るっていた竹中氏の果たした役割と真の目的はいったい何だったのかという疑問を当時から私は抱いていたのですが,「平成経済20年史」(紺谷典子著,幻冬舎新書)という本とこの「市場と権力」という本の内容を読み,自分なりに何となく理解できたのです。腑に落ちたのであります。

 

 竹中氏が第二次安倍内閣で産業競争力会議の民間議員に登用されたこと,さらにはその後に国家戦略特区諮問会議の民間議員にも就任してしまったことに,私は危険性を感じてしまうのです。

 

 悪口ばかりになって読みづらいとは思いますが,私はまずはこの人物そのものが全然好きになれなくて・・・(笑)。竹中氏は昭和59年7月に「研究開発と設備投資の経済学 経済活力を支えるメカニズム」(東洋経済新報社)という本を出しているのですが,この本の価値を高め,そこで引用されている研究成果(エイベルの投資理論を日本経済に適用した実証研究)が鈴木和志(現.明治大学教授)という日本開発銀行の2年先輩との共同研究によるもので,しかもその鈴木は本を出すのなら連名でと予め希望を述べていたにもかかわらず,竹中氏は彼を出し抜く形で単名で出版してしまったのです。苦労して共同研究に励んだ鈴木和志がこの事実を知らされて非常なショックを受け,恩師(宇沢弘文)や同僚のいる前で思わず泣き出してしまったというエピソードが紹介されています(同書60頁)。

 

 また,実質的にはアメリカへの私的な長期出張に過ぎないのに,その費用を官房機密費から出させようと画策したこと(同書120頁),ある評論家の意見を自分の意見として取り込むために,「子どものころに親から聞かされた」という話をでっちあげたこと(同書322頁),在籍する慶應義塾大学の教授になかなかなれず,博士号(学位)を取得していなかったことがそのネックになっていたところ,人脈(佐貫利雄)を使って同大学の重鎮(加藤寛)に働き掛けて学位を得ようとしていたこと(同書104頁),大手住宅メーカーのミサワホームが竹中氏策定の不良債権処理策「竹中プラン」で結果的に産業再生機構入りとなり,トヨタ資本のテコ入れでトヨタ系列の住宅メーカーに生まれ変わった後にミサワホームの社長に就任したのが竹中氏の実兄である竹中宣雄であったことが物議をかもしたこと(同書311頁),などなど・・・。

 

 また長くなりますので突如として端折ってしまいますが(笑),小泉・竹中の「構造改革」や「郵政民営化」なるものは,日米構造協議や年次改革要望書等でアメリカから次から次に突きつけられる要求(要するにアメリカに市場を開き,グローバル企業の商売を日本でやりやすくすること)に唯々諾々と従って日本の国益を損なったことは間違いないと思うのです。そして,竹中氏という人物は徹底した新自由主義者であり,自らをラリー・サマーズ(前回のこのテーマのブログ記事をご参照ください)の友人と称していることからもわかるとおり,ケタは違いますものの,ウォール街の強欲投資銀行らの役員,多額の報酬をもらってその商売に迎合した「見識」を示す経済学者(こういうのを疑似科学というのでしょう),ロビイスト,「回転ドア」人事の当事者,政策を売るシンクタンク関係者らと同じ立ち位置にある方ではないかと思うのです。

2015/02/03

[カテゴリ]

         
 今朝の産経新聞を読んでいましたら,2008年の金融危機の一因になった住宅ローン担保証券(MBS)などを不当に高く格付けしていたとして,アメリカ司法省が大手格付け会社ムーディーズを調査しているという興味深い記事が出ていました。やはり最大手格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は同様の嫌疑で既に提訴済みであるとのこと。

 

 突然ですが,「強欲の帝国-ウォール街に乗っ取られたアメリカ」(チャールズ・ファーガソン著,藤井清美訳,早川書房)という本は名著ですよ。凄い本だと思います。この本はリーマン・ショックを招いたウォール街の投資銀行をはじめとする強欲金融と投資家,役員,政治家らの悪事をえぐり出した本です。格付け会社に限って言えば,この本によれば「投資銀行業界の統合が進むにつれて、投資銀行が次第に主導権を握るようになり、格付け会社は喜んで従うようになった。投資銀行と格付け会社は、ともに腐敗し、駆け引きにまみれ、利己的な行動に走るようになった」のです(同書141~142頁)。

 

 ムーディーズが日本国債の格付けを中国や韓国より下位にしていますが,バカを言っちゃあいけません(笑)。わが日本国債は2年もの国債でもマイナス金利で「品薄」なのですよ。金余りの面はあるにしても,安定資産と評価されているのです。こんな格付け会社の格付けごときに一喜一憂するのはバカバカしい。

 

 さて,本題はいわゆるサブプライム・ローン問題からリーマン・ショックという金融危機を引き起こした背景には何があったのかです。この本を読んでいて痛感したのは,人間という動物はここまで強欲になれるものなのかといった驚きと悲しみです。強欲な投資銀行は,内心では「クズ証券」と思いながら,住宅ローン担保証券(MBS)そのもの,あるいはこれに他の商品を混ぜ込んで,あたかもこれが高利回り,安定資産であるとセールストークをしてさんざん売りまくり(その間は投資銀行の役員などは目が飛び出るほどの高額な報酬を得ています),だんだんとこのような証券のデフォルト(債務不履行)の危険性が高まる段階になると,相変わらずそのようなセールストークを続けて売りまくる一方で,今度は裏でこれらの証券(商品)がデフォルトする方に賭けて儲けるという極めて悪辣な手法をとり,案の定デフォルトしたらそれでまた儲けるということをやっていたのです。

 

 さて,権力の市場化という観点からは,ロバート・ルービン(投資銀行のゴールドマン・サックスの出身)が財務長官を辞任して今度はシティグループ(やはり投資銀行)の副会長になり,以後は10年間で1億2000万ドル以上の報酬を手にすることになりますし,政権内で国家経済会議委員長を務めたローラ・タイソンは政権を去ってまもなくモルガン・スタンレー(投資銀行)の取締役になり,財務省の高官マイケル・フロマンとデイビッド・リプトンの2人はシティグループに迎えられ・・・などなどです(同書59,63頁)。

 

 じゃ,「チェインジ!」を叫んで大統領に就任したバラク・オバマ政権で何かが変わったかというと,そうでもありません。

 

「(オバマ政権においても)それに対し、ラリー・サマーズは要職についた。金融危機を生み出したほぼすべての破滅的政策を推進した男、ヘッジファンドや投資銀行からつい先ごろ2000万ドルの報酬をもらった男が、国家経済会議の議長に任命されたのだ(2011年初めにサマーズが辞任すると、彼の後任に選ばれたのは、ゴールドマン・サックスの非営利活動について助言して同社から100万ドルのコンサルティング料をもらっていたジーン・スパーリングだった。)」(同書383~384頁)

 

 また,財務長官に任命されたティム・ガイトナーは,ゴールドマン・サックスのロビイストだったマーク・パターソンを財務省首席補佐官に据えましたし,トライカディアの責任者だったルイス・サックスを財務省上席顧問の一人にしました(トライカディアというのは,デフォルトに賭けることを目的に銀行に住宅ローン関連証券を組成させることで何十億ドルもの利益をあげたヘッジファンドの一つです)(同書384頁)

 

 ですから,オバマ政権においても病巣は何ら変わってはいないのでしょう。権力の市場化という観点からは,この本にまとめに近い記述がありましたので最後に引用してみましょう。

 

「アメリカは過去三〇年の間に道徳心のない金融寡占勢力に乗っ取られ、機会、教育、上昇移動というアメリカン・ドリームを享受できるのは、今では人口の上位数パーセントにほぼかぎられているということだ。連邦政府の政策は、富裕層と金融部門、それに電気通信、医療、自動車、エネルギーなどの(経営がひどくお粗末なことが珍しくないにもかかわらず)有力な産業によって、ますます決定されるようになっている。そして、これら三つの集団のために喜んで働く者たち、すなわちますますカネで動くようになっているアメリカの正当や学界やロビー業界のリーダーたちによって、実行され、称賛されているのである。」(同書9~10頁)

2015/01/30

[カテゴリ]

          
  突然に政治の話になりますが,小沢一郎という衆議院議員の晩節は,何と言いますか見苦しさと哀れさのみを感じてしまいます。美しさというものが全くないし,潔さも,本来政治家に備わっていてしかるべき見識というものも全く感じることができません。

 

 この人の政治家としての足跡をたどりますと,自由民主党佐藤派→同田中派→同竹下派→同羽田派→新生党→新進党→自由党→民主党→国民の生活が第一→日本未来の党→生活の党→「生活の党と山本太郎となかまたち」となります。

 

 最後は「生活の党と山本太郎となかまたち」ですって・・・。少し恥ずかしい(笑)。いくら政党要件を欠いてしまったからといって,そしていくら政党交付金が欲しいからといって,山本太郎となかまたちなどといった訳の分からない名前にしたり,少し頭がおかしいとしか思えない人と一緒になったり・・・(笑)。

 

 この小沢一郎という人は,佐藤栄作,田中角栄その他,政治家としての大先輩から何を学んだというのでしょうか。昭和44年に初当選して以来,46年間にわたる政治家としてのキャリアがありながら,最後はこれですか。はっきり申し上げて,政治家としての背骨,定見,しっかりとした国家観がなかったのでしょうね。というのも,民主党が政権を奪取した時は国民に迎合的なバラマキ政策がマニフェストの中心でしたし,日本未来の党の時には脱原発をほとんどシングルイシュー的に標榜していました。そして国民の生活が第一の時もやはり国民に迎合的なバラマキ政策です。要するに,政治家としての確固とした信念,政策というものがなく,最近の小沢一郎という人の行動原理は,「今は何が国民受けするんだろうか」という観点だけだったような気がします。今でも許し難く記憶しているのは,民主党政権時代,習近平なるものの天皇陛下ご引見をごり押ししたり,国会議員などを何百人も引き連れて当時の胡錦涛と卑屈な握手をしたりしていたことです。

 

 いずれにしても,この人は晩節を汚しましたね。

2015/01/28

[カテゴリ]

         
 さて,権力の市場化という現象をアメリカという国に当てはめてみた場合,そのキーワードになるのは,「回転ドア人事」と「ロビー活動」でしょう。

 

 「回転ドア人事」というのは,企業内部の人間を政府部内に送り込んで「本籍」の業界利益を最大化させるような政策決定に関与させ,これがまんまと成功した後に「本籍」の企業や関連企業に好待遇で戻すという人事の形態をいいます。

 

 例えば,1999年,世界最大の投資銀行ゴールドマン・サックスからホワイトハウス入りしたルービン財務長官と後任のサマーズ財務長官はクリントン大統領の背中を押し,グラス・スティーガル法(預金を受け入れる商業銀行が証券業務にのめり込んだことが大恐慌の一因にもなった反省から,銀行業と証券業を分離すること)を廃止する「金融近代化法」に署名させました。投資銀行の役員が政府の政策決定に関与し,これによって巨大な投資銀行のやりたい放題の状況になり,あのリーマンショックへと向かうことになります。

 

 イラク戦争が開始された時はブッシュ政権でしたが,その副大統領はチェイニーでした。そのチェイニーは政権入りする前は軍事サービス会社「ハリバートン」の最高経営責任者として高額の報酬を得ていました。チェイニーが政府部内に入ってからは「ハリバートン」が戦争地域での兵士の食糧提供や戦争で破壊されたイラクの復興事業などで巨額の受注を得ることになりました。

 

 今はオバマ大統領ですが,この大統領は現実にはあまり大した実績を挙げていません。このままオバマ政権はレームダック化していくでしょうが,いわゆる「オバマケア」という国民皆保険制度も何ともひどいことになっております。詳細は,「沈みゆく大国 アメリカ」(堤未果著,集英社新書)をお読みください。これは200ページくらいの新書ですが,大変読みやすく,アメリカにおける権力の市場化の酷さがよく理解できます。

 

 この「オバマケア」で幸福になったのはアメリカ国民ではなく,幸福になり高笑いしたのは(この本では「笑いが止まらない人々」と表現されています),保険会社,製薬会社,ウォール街(金融,超・富裕層)の3者であると喝破されています。この「オバマケア」でも「回転ドア人事」がフル回転です。先にお勧めした本からちょっと引用してみましょうね。

 

「2001年。全米最大の保険会社ウェルポイント社の社員だったリズ・フォウラーの最初の任務は、ドアをくぐって医療関係法管轄の上院金融委員会にもぐりこみ、メディケア処方薬法改正の設計に関わることだった。同法は二年後に成立し、政府からメディケアの薬価交渉権を奪い、処方薬部分に民間保険会社が入り込む隙間を作ることに成功する。仕事を終えて政府を去ったフォウラーには、ウェルポイント社のロビイング部門副社長の席が与えられた。数年後、前回よりはるかに規模が大きい任務を果たすため、フォウラーは再び回転ドアをくぐると、今度は上院金融委員会の、マックス・ボーカス委員長直属の部下となる。〈オバマケア〉法案の骨子を設計するために。彼女は手始めに、医療・製薬業界にとっての最大の障害である〈単一支払い医療制度(シングルペイヤー)〉案を、法案から丁寧に取り除いた。日本やカナダのようなこの方式を入れたら最後、医療・製薬業界が巨大な利益を得られるビジネスモデルが一気に崩れてしまう。法案骨子が完成すると、フォウラーは次に保健福祉省副長官に栄転し、オバマケアにおける保険会社と加入者側それぞれの利益調整業務を任される。(中略)だがホワイトハウスでのこうした賛辞は、彼女がその後手にした報酬とは比べ物にならないだろう。元の業界へと続く回転ドアを再びくぐったフォウラーを待っていたのは、最大大手製薬会社の一つであるジョンソン&ジョンソン社の政府・政策担当重役の椅子だった。ウェルポイント社の株価が、その後ロケット級に上昇したことは言うまでもない。」(同書151~153頁)

 

 まあ,こんな感じです。あと,「ロビー活動」については言うまでもありませんね。企業は自社の利益の最大化を図るために,元議員の事務所主任,元議会委員会委員,元政府職員などを金に糸目を付けずにロビイストとして多数雇い入れ,絶えず政府や政策決定機関に精力的な働きかけを行っているのです。

ブログ内検索

カレンダー

2024年5月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

カテゴリー


PAGE TOP