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弁護士ブログ

2013/11/29

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 ボサーッとしながら自宅のテレビを見ておりましたところ,あるケーブルテレビ局の番組で地元映画館の上映映画の案内がされておりました。「もうひとりの息子」というフランス映画が紹介されていて,これは東京国際映画祭でグランプリと監督賞を受賞した作品のようです。病院での赤ちゃんの取り違えという悲劇を題材にしており,取り違えられた赤ちゃんがそれぞれイスラエル人とパレスチナ人・・・。極めてシリアスな展開のようです。

 

 幸い,私なんかは生まれた娘を我が家に迎えた時,自分の娘であることを瞬間に確信しましたし(病院でも抱っこしておりますが),その後の成長に従って娘の容貌の中に自分の幼い頃のそれを見い出し,その確信は揺るぎのないものになりました(笑)。

 

 毎朝読んでいる産経新聞のコラム「産経抄」の本日の記事には感じるものがありましたので,ほとんどコピペ状態でご紹介します。

 

 この裁判は新聞でも報道され,皆さんもよくご存じだと思いますが,産院の赤ちゃん取り違えによって人生を狂わされた男性が,産院を経営する社会福祉法人を相手取って損害賠償請求訴訟を提起し,このたび東京地方裁判所がこの男性の請求を一部認め,3800万円をこの男性に支払うよう社会福祉法人に命じる判決を下しました。東京都墨田区の産院で60年前,新生児の取り違えがあったことがDNA鑑定で判明したのですが,そのことを知ったこの男性の精神的ショックはいかばかりかと察するに余りあります。この男性は2歳の時に養父に先立たれ,養母は女手ひとつで生活保護を受けながら3人の子供を育てた。男性は中学卒業後は町工場に働きに出る。一方,本当の家族は裕福で,子供4人はいずれも大学や大学院に進み,安定した職業に就いた。親の経済力や生活環境だけで人生が左右されるわけではないというのも真実だが,それは分かっていても「生まれた日に時間を戻してほしい」と願うのは当然で,3800万円の損害賠償金の受領で取り返しのつくものではない。この男性の育った6畳一間のアパートにはテレビがなく,ラジオで養母と聴く落語が楽しみだった。

 

 また,産経抄のこの記事には,医師で作家の鎌田實さんのことにも触れられておりました。「がんばらない」,「あきらめない」などの著作で有名な方です。鎌田さんは戸籍上は鎌田實という氏名ですが,子供のころからずっと簡単に書ける「実」という字で通してきました。でも自分が37歳の時,それまで育ててくれた両親の実の子ではない事実を知らされてからは,「實」と書くようになったそうです。鎌田さんは,それ以来,育ててくれた両親の鎌田という名字を大切にしながら,実の両親がつけてくれた「實」の名にこだわったのです。鎌田さんが人前で初めて涙を流したのは,育ての母が息を引きとった瞬間でした。病弱だった母親は入院するたびにベッドにもぐり込む實少年をいつも力いっぱいに抱きしめてくれた。鎌田さんの場合は赤ちゃんの取り違えのケースではないでしょうが,真実を知らされた37歳のその日に受けた精神的な衝撃は想像もできません。

 

 赤ちゃんという日本語は本当に良いですね。日本人の本来の優しさがよく表れている言葉です。でも,赤ちゃんの取り違えというのは,本当に罪なことです。

2013/11/28

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 昨晩は少し飲み過ぎましたが,私もいよいよ今朝からコートを着て颯爽と出勤です。寒くなりました。今頃の時候の挨拶は,「こがらしが身にしむころ」とか「落葉風に舞うこのごろ」とか「向寒のみぎり」などといった美しい日本語を使うのでしょうね。

 

 昨日の昼飯時は,あまり時間がなくて,でも少し暖まりたくて,コンビニでうどんのカップ麺を買って事務所でいただきました。私が買って来たのは「肉うどん」と銘打ったカップ麺でしたが,「檄おこぷんぷん」というほでではないにしても,食べながら少し怒れてきました。いやしくも「肉うどん」を標榜するのなら,もうちょっと肉を入れたらどうだ!(笑)。あんな肉の切れ端のようなものを4,5片入れたところで,消費者の自分としては何か侘びしくなってしまうだけです。今特に問題になっている「偽装」とは言いませんが,とにかく「肉うどん」だというなら,価格が高くなってもいいからもっとちゃんとした肉を入れること!でもね,考えてみれば,少し事務所から遠出してでもちゃんとした肉うどんを出してくれるうどん屋さんに行けば済むことですけどね。

 

 愚かな中国共産党は,勝手に,そして一方的に,そして傍若無人に「防空識別圏」を新たに設定しましたが,日本固有の領土である尖閣諸島をくすねようとする魂胆が明らかです。事前に飛行計画書を提出しろとは何事だ。こういった計画書の提出という既成事実を積み重ねていこうとする悪計です。勿論こんなものに従う必要はなく,我が日本国政府も日本航空や全日空に対してそんなものを提出しないようにと指導し,両社はこれに従い始めました。日本の企業ならば極めて当たり前のことです。毅然と対応すべきですし,政府も対応が早かったと思います。かの民主党政権だったらどうなっていたか・・・(笑)。アメリカも中国の勝手な「防空識別圏」設定を無視しておりますし,今度の中国の行動は国際的にも諸外国から非難されています。

 

 昨日の産経新聞の「産経抄」に書かれていたのですが,日本では「傍若無人」という言葉は,他人の迷惑を顧みない勝手な振る舞いをすることという意味ですが,中国ではこの「傍若無人」という言葉は,他人に遠慮せずに感情を表すというほどの意味に過ぎないのだそうで,このことは渡辺紳一郎氏が「東洋古典辞典」の中で指摘しております。いずれにしても,中国共産党は勿論のことですが,民族的傾向として,こんなことしたら相手(他人)はどう思うだろうかといった観点から内省することが極めて少ないと思います。

 

 ああ,もうすぐ11月も終わりですか。今月はブログ更新が9回にとどまっております。最低でも毎月10回は更新するというのが私の「政権公約」ですから(笑),明日は何としてでも,どんな卑怯な手段を使ってでも(笑),今月10回目のグログ更新をしなければ・・・。

2013/11/26

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 先週末の土曜日,日曜日は本当に良い天気でした。農業には二毛作というものがありますが,洗濯物干しの「二毛作」でもやりたいような,とても良い天気だったのです。それにしても中国は,またまた本当に愚かにも,勝手に「防空識別圏」を設定し,およそ国際的には支持を得られない威嚇的,膨張的的な行動を懲りずに繰り返しております。自国の民を幸せに出来ないような政権に正統性(レジテマシー)はなく,そんなヒマがあるのなら例えばPM2.5を何とかしろと言いたい。10~20メートル先の見通しもできないような地獄のような大気汚染,劣悪な住環境・・・。この土曜日,日曜日の素晴らしい日本の空を見て,つくづく日本人に生まれて良かったなと思いました。

 

 月曜日の夕方から晩にかけては,名古屋は一時期雨風が強い天候でしたね。もうコートを着ている人も多くなりました。先日タクシーの運転手さんが「だんだん秋が短くなっていますね。」と言っていましたが,同感です。私は秋という季節が一年中で一番好きなのに,夏の暑さが長引き,そうこうしているうちに体感としては途端に寒くなるという感じです。大切な秋が省略されつつあります。

 

 秋に引き続く冬も,私は嫌いではありません。でも寒風に吹かれて歩いていると,何故か種田山頭火の「うしろすがたのしぐれてゆくか」という秀句を思い出してしまうのです。種田山頭火も,そして古くは空也上人も,行乞,乞食(こつじき)の旅を続けていた人にとっては冬という季節は本当に辛かっただろうなと思います。

 

 時雨(しぐれ)というのは,主に秋から冬にかけて起こる,一時的に降ったり止んだりする雨や雪をいい,時雨が降る天候のことを称して,時雨が動詞化して時雨れると言うようです。時雨は冬の季語ですが,これについては,残念ながら今年の6月に鬼籍に入られた村上護さんは次のように述べておられます。

 

 「なんといっても時雨で有名なのは『後選集』にある「神無月ふりみふらずみ定めなき時雨ぞ冬のはじめなりける」という歌だろう。これにより時雨は初冬の景物として俳句の季語に定着していく過程もあった。同時に時雨を「ふりみふらずみ定めなき」と表現したことから、人生の定めなさ、はかなさを象徴する意にも転じ、「しぐれる」の動詞形としても使われている」(「山頭火名句鑑賞」村上護著,春陽堂61頁)

 

 山頭火の「うしろすがたのしぐれてゆくか」という句は,その標題に「自嘲」とありますように,降る雪(この句の場合は雨より雪かと思います)の中を自分の托鉢僧としての後ろ姿が次第に遠ざかっていく情景を自嘲気味に表現しています。また,彼ら漂泊の行乞者にとって冬の季節がいかに辛かったか,また,いかに内省的に自分の境涯に思い至る外的環境だったかを窺わせる句として,次のような山頭火の句もあります。

 

 「しぐるるや 人のなさけに 涙ぐむ」

 「しぐるるや 死なないでゐる」

2013/11/21

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 自分は特に意識せず普通に生活しているのに,相手が執拗に自分を非難し続けたり,他の人に自分の悪口を言いふらしたりすれば,どうしてもその相手に好感を持つことはできませんよね。どんなに平静な気持ちを保とうと思っても,そんな嫌なことがずっと続けば内心はその相手のことが嫌いになりますよ。最近の世論調査等によると,さすがの日本国民も,韓国に好感を持てなかったり,嫌いになったりしている回答割合がとても多くなっております。

 

 韓国は普段,ただでさえいわゆる「従軍慰安婦」という虚構の問題を声高,居丈高に喧伝したり,捏造された歴史認識を日本に突きつけたりしておりますし,最近の朴大統領の言動は常軌を逸しており,外交儀礼に反しているだけでなく,本当に気は確かか?と首をかしげざるを得ません。この韓国の朴大統領は,今年5月の初訪米ではオバマ大統領に「日本は正しい歴史認識を持つべきだ」と「直訴」しておりますし,6月末に中国の習近平主席と会談した際にはやはり日本を批判し,伊藤博文公を暗殺したテロリスト安重根の記念碑をハルビンに設置することについての協力を要請しました。9月末に訪韓したアメリカのヘーゲル国防長官に対しても,歴史問題や領土問題で日本を批判したのです。さらには,この朴大統領は11月上旬にヨーロッパを歴訪した先々でことごとく日本批判を行い,「告げ口外交」と揶揄されました。また,先のロシアのプーチン大統領との共同声明でも明らかに日本批判と思われる文言を入れることを要求し,ロシア側が相当に難色を示したものの,結局は主語の明らかでない文章で落着しました。実は,一説によるとアメリカのヘーゲル国防長官などは,会談中,朴大統領が延々と持論の日本批判を続けるのに相当にイラ立っており,結局は当てつけのように日本の集団的自衛権をめぐる憲法解釈の修正に賛同し,この朴大統領のメンツを見事につぶしております。実際には外交上は異例ともいえるこのような朴大統領の言動に対しては,会談相手も相当な違和感と不快感を抱いているのだと思います。

 

 世界でも輸出依存度の極めて高い韓国は,ウォン高でますます経済が苦しくなっておりますし,外貨準備高も決して多くはなく,その額面のうちの相当部分がすぐには使えない代物のようですから,通貨危機に対しては極めて脆弱な経済構造なのです。円というハードカレンシーを有する日本との間では通貨スワップ協定額は縮小の一途をたどっていますから,韓国としてはインドネシア,UAE,マレーシアといった資源国との間の通貨スワップ協定を必死で行っております。可哀想なくらいです。こういった国の通貨もハードカレンシーではなく,せいぜいそれらの国の通貨と交換することでその国の資源を購入できるというメリットがあるのでしょう。でも韓国としては,本当のところは,1997年のアジア通貨危機の時のような事態や外貨準備が底をつくような事態に備えて,アメリカ,日本,EUなどとの間で通貨スワップ協定を締結して安心したいのが本音でしょうが,少なくとも日本がなかなか振り向いてくれません(笑)。

 

 実際のところはどうなんでしょうか,韓国の朴大統領の先ほど述べたような異常な告げ口外交などの背景・理由については,①これまで反日を国是としてきた手前,もう引っ込みがつかなくなり,そうしなければ国内世論と自分に対する支持率がもたないのか,②彼女自身,骨の髄まで反日なのか,③「日本!もういい加減にこっちを振り向いてよ!」という意思表示なのか・・・。このうちのどれかか,あるいは複数の理由が重なっているといったところでしょう。

 

 独立国として大韓民国が成立したのが1948年でした。それからもう65年もの月日が過ぎております。そして1965年6月22日には日韓基本条約が締結され,これに伴い日韓請求権並びに経済協力協定も結ばれており,個別請求権の問題解決だけでなく,相手国家に対する個別請求権の放棄も明確にうたわれているのです。そして日本は,韓国に対し,約11億ドル(当時の韓国の国家予算の3倍強)の無償資金と借款を援助したのです。それに,そもそも歴史認識というのは全世界で一致するようなものでも,また一致させるべきようなものでもありません。それぞれの国の立場があり,歴史認識も違って当たり前です。韓国には韓国の歴史認識というものがあるのでしょうが,日本に対して強引にその歴史認識に従わせようとすること自体,間違っております。前任者の李という大統領も任期終了近くには日本固有の領土である竹島に上陸したり,天皇陛下を貶めるような発言をしました。それに,日本国の天皇陛下を諸外国のように天皇ないし天皇陛下とは呼ばず,「日王」と呼んでいるのは韓国だけです。越えてはいけない一線を越えてしまっているのです。心ある日本人が怒らない訳がありません。韓国という国は,もう少し大人になれないのでしょうか。

2013/11/19

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 小泉純一郎という人は,かつてはこの日本国の首相まで務めた人ですが,最近の「脱原発」連呼の一連の言動には思わず首をひねってしまいます。電力というものは,国民の日常生活には勿論,企業活動にも必要不可欠なものですから,将来にわたって電力供給が安定的になされるべきだとの観点からは,即脱原発というのは現状ではあまりにも無責任でしょう。原子力発電の稼働停止により,今度は火力発電のためにいわゆる化石燃料等を購入,輸入せざるを得ず,そのために現在では約3兆6000億円もの国富が流出しております。

 

 小泉純一郎は最近あちこちで「脱原発」を唱えるようになって注目を集めており,影の薄い社民党の新代表からも歩み寄られている始末ですが(笑),彼は「政治が原発ゼロの方針を打ち出せば,必ず知恵のある人がいい案を出す。」などと暢気なことを言っております。本当に無責任だなあと思います。そんな料簡で即脱原発に走ってしまったら,泥縄式になってしまわないでしょうか(笑)。それに,軍事面でもエネルギー面でも,安全保障という観点からは,世界に冠たる日本の原子力技術がこのまま衰退し,あるいは国外に流出してしまうことが本当に良いのでしょうか。

 

 スポットライト症候群というのは,舞台上でスポットライトを一身に浴びるように一度華々しく世間から注目を浴びてしまうと,その恍惚的な感じが忘れられなくて再び夢をもう一度とシャシャリ出たいという症状に見舞われる状態をいいます。小泉純一郎はちょうどスポットライト症候群に罹患してしまっているのではないでしょうか。

 

 思い起こせば,郵政民営化の時などは,小泉氏はいわゆる劇場型政治・ワンフレーズポリティックスを巻き起こし,「抵抗勢力」とか「官から民へ」とか「規制緩和」とか「聖域なき構造改革」とかのセンセーショナルな号令の下,新自由主義的発想で「構造改革」を推し進めました。でも実際には,主として欧米のグローバル資本に暗躍の場を与え(商売をしやすい状況を作り出す),株主資本主義を浸透させる結果となったのです。小泉構造改革とは一体何だったのかという総括がなされることがありますが,要するにアメリカのポチになって以上のような「構造改革」をやみくもに推し進めたということだと思います。その結果,経済格差がますます広がり,駅前にはシャッターを閉めたままの店舗が目立つようになりました。その「構造改革」,「規制緩和」の先兵になったのが竹中平蔵氏などでしょう。もともとその淵源は,日米構造協議,年次改革要望書などに遡り,日本政府は唯々諾々とアメリカの要求を吞んでいったのです。その辺りの事情を鋭くえぐり出し,私も目からウロコが落ちる思いをしたのが「拒否できない日本」(関岡英之著,文春新書)という本でした。

 

 その関岡英之さんは,第二次安倍内閣の課題について次のように述べており,私も同感です。

 

 「安倍政権はまず、平成改元以来のデフレ下における規制緩和、すなわちインフレ対策の推進が正しかったのかどうか、きちんと検証すべきです。だから私はさきほど『新自由主義と決別せよ』ではなく、『新自由主義を清算せよ』と言ったのです。『強い日本』を取り戻したいなら、橋本政権時代の消費増税と『六大改革(経済・財政・金融・行政・社会保障・教育)』、そして小泉政権時代の『痛みを伴う構造改革』に焦点をあて、それらが本当に我が国の国益、国力の増強に裨益したのかどうか、きちんと政策評価すべきです。」(「検証・アベノミクスとTPP」233頁(三橋貴明・関岡英之著,廣済堂出版)

2013/11/15

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 もう70歳を超えたそのご婦人からは,なかなか手に入らない銘酒を3度にわたっていただいたことがあります。あまりに申し訳なかったので,バッハの作品のうち有名で一般受けする名曲(「G線上のアリア」とか「主よ人の望みの喜びよ」とか)の詰まったCDをお礼に贈りました。

 

 そうしましたら,そのご婦人からは「本当に良かった。感動しました。愛猫と一緒にうっとりと聴き入ってしまった。」という感想をいただき,さらにその後のある夜の会合ではそのご婦人から「バッハの作品でお薦めの曲を5つくらい教えてくれない?」と頼まれたのです。

 

 もうすっかりバッハのファンになられたようです。そういえば,今から1年ほど前にも60代のあるご婦人から「バッハの曲でお薦めの曲を教えて。」と頼まれたこともありました。私がバッハ狂いであることを知っていたのでしょう。そんなこんなで,私はすっかりバッハ教の伝道師みたいになっております(笑)。今述べたお二人のご婦人も,これまで多くのクラシック音楽を耳にされたこともあったのでしょうが,改めてバッハ作品の魅力に気付かれたのでしょう。

 

 そういう訳で,冒頭にお話ししたその70代のご婦人には,バッハの多くの作品の中から,いろいろ私なりに考えて次の曲を紙に書いてお薦めしたのです。

1 マタイ受難曲
2 ブランデンブルク協奏曲第1番~第6番
3 教会カンタータ第140番「目覚めよと呼ぶ声あり」と第147番「心と口と行いと生活で」
4 2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調とヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調
5 平均律クラヴィーア曲集第1巻と第2巻

 

 私なりにいろいろと考えた選曲です。せっかくバッハの曲を好きになっていただいたので,ますます好きになっていただかなくてはなりませんから・・・。でも,さすがに「マタイ受難曲」については全部聴くと2時間を超えてしまいます。それでもこの曲はバッハの最高傑作だと思いますし,あの世に1曲だけ持って行くことが許されるとしたら,私もバッハ自身と同様,この「マタイ受難曲」を迷わず選ぶくらいの曲です。そこで調べて見ると,カール・リヒター指揮,ミュンヘンバッハ管弦楽団と合唱団の「マタイ受難曲」のハイライト版(ダイジェスト版)が発売されていることが分かりましたので,これを1枚そのご婦人にプレゼントしました。ハイライト版というのは邪道なのかもしれませんが,どうしてもこの曲を外すことはできず,苦肉の策です。

 

 「マタイ受難曲」・・・・・。亡き武満徹さんも,既に自分の死期を悟っておられたのかどうかは分かりませんが,その死の前日にバッハの「マタイ受難曲」を聴いておられたといいます。

2013/11/14

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 先日,午前11時40分ころにちょうど裁判が終わりましたので,その喫茶店に行ってエビピラフとホットコーヒーを注文しました。その喫茶店には私がまだ20代で裁判所に勤務していた当時,同僚と一緒によくランチに来ていた店です。その当時は威勢のいいおカミさんのような女性経営者がおりましたが,20数年経った今ではその方ももういません。でも店の雰囲気は当時と同じです。昔はよく,そのお店のハンバーグカレーを食べました。「バーグカレー」と呼ばれておりましたが,ご飯と大きなハンバーグにカレーが添えられているやつです。美味しかった記憶です。あれからもう20数年が経ったのかと思うと,カウンターでコーヒーを飲みながら月日の経つのは早いものだとつくづく思いました。人間って,あっという間に年をとりますね(笑)。

 

 さて,話は変わりますが,私は第二次安倍内閣の発足を心から願い,基本的には今でもその気持ちは変わりません。あたかもこの日本を弱体化させるかのように放置されてきたデフレ経済,近隣諸国にナメられっぱなしの軟弱で売国的な外交,教育の荒廃,憲法改正などなど,日本のかかえる諸問題を一つずつやりこなしていけるのは,安倍内閣しかないと思ってきたからです。

 

 しかし,ここにきて,私と同じような期待をもっている保守層の中には,現在の安倍晋三首相に疑問を投げかけている人たちもいます。第一次安倍内閣の時に靖国神社に参拝できなかったのは「痛恨の極み」だといいながら,春季例大祭,終戦記念日,秋季例大祭のいずれにも参拝できていませんし,いわゆる集団的自衛権行使の議論も先送りし,いずれ増税は避けられないにしてもデフレ経済脱却に向けての有効な政策実行の成果を見届ける前に消費増税を決定し,アクセルとブレーキを一緒に踏むという愚を犯しています。

 

 それでも現在の政界を見渡しても,中川昭一という国士のいない今,安倍晋三という人物を除いては他に期待し,託せるような人物はあまり多くはないという悩ましい状況でもあり,保守層の悩みもとても大きいのですよ。現在の状況については,安倍晋三が自由民主党総裁選挙の際に述べていたような「公約」内容とは少なからず齟齬しており,ガッカリする面も少しあるのですが,もうちょっと長い目で見ていかなければならないのでしょうかね。

 

 そんな印象を抱きながら過ごしているところ,本日の産経新聞の「正論」には拓殖大学大学院教授の遠藤浩一さんの論稿が掲載されており,腑に落ちる部分がありました。引用しておきましょう。第二次安倍政権に期待している私も同感なのです。

 

 「最近、永田町や霞が関では、安倍内閣というポリティカル・キャピタル(政治資本)を大切にして懸案を解決していくべきだという声がよく聞かれる。異存はないが、政治資本の維持という「手段」が「目的」と化したとき、安倍首相が懐深く抱く国家再建という真の目的は、むしろ遠ざかっていく。まもなく政権発足1年。安倍政権は真価を問われている。」

2013/11/11

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 政府は,一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売の新ルールで,医療用から転用された市販直後品は安全性評価のため原則3年間,ネット販売を認めず,評価終了後に解禁すること,また性機能障害改善薬など劇薬5品目のネット販売を禁止することにしました。でも,全体では1万1千品目以上の薬品のネット販売を解禁し,薬事法改正案の臨時国会提出を急ぐ方針です。

 

 このように99.8%の薬品のネット販売が解禁され,わずか0.2%の薬品が合理的な理由で規制を受けるのみであるにもかかわらず,楽天の三木谷浩史会長は「時代錯誤もはなはだしい」などと毒づき,産業競争力会議の民間議員を辞任するぞ,国を訴えるぞといった趣旨のことを述べています。

 

 私自身,そもそも薬品のインターネット販売の可否を議論する場に,あろうことかそれ(ネット販売)を生業とする会社のトップがこの会議の民間議員として名を連ねていること自体,すごく違和感を覚えていました。だって当事者なんですし,大いに自社の利害と関係しているのですもの・・・。三木谷という人は,結局は小泉内閣の時のオリックスの宮内義彦のような典型的な政商でありレントシーカーなのではと思ってしまいます。現にこの人は,合理的と思われる全体の0.2%の薬品のネット販売が解禁されなければ前記会議の民間議員を辞任するぞと言い,国を訴えるとも述べているのですから,国益や大所高所に立った観点で議論することはとても期待できず,自社のことしか考えていないのでしょう。解禁されればされるほど自社のマーケットや販路が広がる訳ですから。

 

 評論家の三橋貴明さんは,多作なのはいいとしても最近ではやたら同じようなことを書いた本を出していますが,この評論家の主張していることはとてもまともで説得力があり,愛国者だとも思います。その三橋さんのブログの受け売りになりますが,近頃では政商というかレントシーカーが極めて多く跋扈していると思います。要するに,政権の中枢に取り入って自分の商売を繁盛させようと画策している連中のことです。いわゆるレントシーキングというやつですね。

 

 平成23年度の厚生労働省の調べでは日本全国津々浦々に薬局は5万4780店舗存在するそうです。そして家計における医薬品市場は1兆3千億円規模だろうと言われており,この医薬品市場の中で生計を立てている同じ日本国民がいるのです。地方,地域の医薬品購入のライフラインとして薬局はあります。でも,医薬品のインターネット販売をほぼ全面解禁するとなると,これらの全国津々浦々の薬局は,新規参入の楽天などと熾烈な競争関係に立つことになります。そもそも医薬品というのは,病院で処方された時にいただいたり,必要が生じた時にその都度近くの薬局で購入してきました。誰も好き好んで必要もないのに医薬品を積極的に購入しようとは思わないでしょう。できるだけ医薬品の世話にならないようにと心がけているのです。ですから,仮に医薬品のインターネット販売が全面解禁されたとしても新たな需要を生むとは思えず,要するに限られたパイの医薬品需要を地域の薬局が,新規参入者である楽天などのネット販売業者とが取り合う関係になります。

 

 ますますデフレ圧力になってしまうのではないでしょうか。規制緩和というのは需給面からいうと供給力をアップさせる政策です。現在のデフレ経済はデフレギャップ(供給に見合った需要がないこと)のせいです。格別新たな需要を生みだすことなく,規制緩和でますます供給を増やすとなると,さらなるデフレ圧力になるのではないでしょうか。いわゆるアベノミクスの第一の矢(大胆な金融政策),第二の矢(機動的な財政政策)は極めて正しいと思っておりますが,第三の矢(民間投資を喚起する成長戦略)については,無批判的な規制緩和等,首をかしげる内容も含まれておりますし,首をかしげる人選もあって(例の徹底した新自由主義者であり規制緩和論者である竹中平蔵氏も民間議員の一人です),要注意です。

 

 くどいようですが,ネット販売を生業とする会社のトップが,あろうことか政府の会議(産業競争力会議)の民間議員として,医薬品のネット販売の全面解禁の可否を議論する場にいること自体,すごく違和感を覚えてしまいます。三木谷会長の言動からしても,自社の利益のことしか考えていないとしか思えないのです。それに・・・・,例の「楽天セール」の欺瞞性も首をかしげます(笑)。

2013/11/07

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 少し前のこのブログで,私が少年時代からずっと頭に残っていたハリウッドの伝説の名女優グレタ・ガルボのことを書きました。ひょんなことから,この名女優の「ニノチカ」という主演映画を観る機会があったからでした。それにしても美しい女優さんです,ガルボという人は。

 

 そのガルボに関する本が何かないのかネットで調べてみましたら,「グレタ・ガルボ その愛と孤独(上・下)」(アントーニ・グロノヴィッツ著,永井淳訳,草思社)という本を見付けました。今年の読書週間は10月27日から11月9日までだそうですから(笑),早速買って読んでみました。いやあ,なかなか読み応えのある本でしたし,ガルボという女優,そして引退後の一人の人間としての生き方,考え方の一端に触れたような気がしました。

 

 ただ私が読後に思いましたのは,この本の内容のどれくらいが真実なのかということです。この本は全て一人称で書かれていて,あたかもガルボが,その生い立ちから女優になるまで,そしてハリウッドにおいて「ガルボ帝国」と言われるほどの女優としての成功を収めた過程,さらには引退後の謎のヴェールに包まれた人生を独白しているような内容ですが,このアントーニ・グロノヴィッツという作者がなぜそれほどまでに詳細に知り,作品としてまとめ上げることができたのかという点に不思議を感じたのです。これはこの作者がよほどガルボと親密で,しかも長時間にわたってインタビュー等をしなければこれほどの「聞き書き」はできないからです。

 

 内容には,少なくとも家庭という面では不遇な生い立ち,女優になるための足がかりを気付いてくれたムイエことマウリッツ・スティルレルとの関係そして別離,女優としての成功や早すぎるとも言われた引退後の生活などが事細かに記載されており,中にはレズビアン疑惑,あのウィンストン・チャーチルがあごからよだれを垂らしてガルボを壁に押しつけてドレスをはがそうとしたなどといった衝撃的な記述,高名な指揮者であったレオポルト・ストコフスキーの俗物ぶりなどに言及したくだりもあるのですが,本当に本当なのかと思ってしまいます。それに作者であるグロノヴィッツが本書で語っているところによると,1938年の夏にポーランドの音楽家パデレフスキーの山荘でガルボとグロノヴィッツが初めて会ったとされ,その初対面の時に両者が性交渉をもったという表現もありました。その当時ガルボは32歳でハリウッドの伝説的存在だったのですが・・・。

 

 ガルボは生前,グロノヴィッツがこの本を出版することに反対し,ガルボの死後にこの本が出版された後(グロノヴィッツはガルボよりも先に他界)には,出版社とガルボの遺族との間で訴訟沙汰にもなっております。また,実はグロノヴィッツが1980年代初頭に法皇ヨハネ・パウロ二世の生涯を書いたという本は偽物であるとわかって回収された事実もあります。

 

 一方,グロノヴィッツは1972年に自分の小説を出しているのですが,その小説にはガルボの署名入りの前書きが載っておりますから,両者が親密だったことも窺えます。

 

 いずれにしても,この本の内容の真実性がどこまでなのかについては,未だに明らかになっておらず,ガルボの人生と同様,謎のヴェールに包まれたままなのです。ただいずれにしても,読み応えのあった本でした。

2013/11/05

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 今年の日本シリーズ,わが栄光の読売巨人軍は残念ながら敗れてしまいました。40年ぶりの日本シリーズ(日本一)連覇の夢は叶いませんでした。してみると,先ごろ鬼籍に入られた川上哲治さんが監督としてなしとげた9連覇(V9)という記録がいかに凄いものであるか,改めて思い知りました。おかげさまで,私としても熱烈な巨人ファンとして素晴らしい少年時代を過ごさせていただきました。

 

 それにしても今年の日本シリーズにおける巨人軍は覇気というものが感じられませんでしたね。巨人ファンとしては誠に残念です。第6戦で田中投手を攻略して12安打を放った試合は満足でしたが,その他はどうにもなりませんでした。投打ともに・・・。一言でいいますと,精神面の問題だったのではないかと思います。巨人の各選手は,彼らが少年時代に野球を楽しんでいたように,もっと伸び伸びとした気持ちで試合に臨んでいたら良かったと思います。いずれにしてももう終わったことです。捲土重来です。

 

 東照公(徳川家康)のご遺訓にも,「勝つことばかり知り 負くる事を知らざれば 害その身に至る」とあるではありませんか。まあ,わが栄光の読売巨人軍はこのたびの日本シリーズの敗北を糧にして,来期を目指して頑張りましょう。

 

 そうはいうものの,敗北が決まってからというもの,私も精神的にはパッとせず,浮かない気分です(笑)。そこで昨晩はやはりJ.S.バッハの音楽世界に潜り込みました。カール・リヒター指揮,ミュンヘン・バッハ管弦楽団等の演奏で,ブランデンブルク協奏曲全曲とミサ曲ロ短調を一気に聴きました(DVDで)。大変慰められました。いつ聴いても,いつ観ても素晴らしい演奏です。特に改めて思いましたのは,ヴァイオリンのオットー・ビュヒナーの演奏の素晴らしさです。以前から思っていたのですがその音色とテクニックにはいつも感動すら覚えます。あの完全主義者とも言うべきカール・リヒターの下で首席バイオリン奏者をずっと務められるのですから,演奏家としての能力は折り紙付きで,だからこそリヒターも高く買っていたのだと思います。今度,オットー・ビュヒナーがソリストとして録音したCD等があるかどうか探してみたいと思います。

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