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弁護士ブログ

2015/02/09

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 ここに「市場と権力」(佐々木実著,講談社)という本があります。平成25年4月30日に第1刷発行となっていますから,割と新しい本です。私の中では今のところ関岡英之,門田隆将といったノンフィクション作家をとても高く評価しているのですが,この本の著者もこれに加えてもいいかなと思いました。それぐらい読み応えがある本でした。

 

 この本には「『改革』に憑かれた経済学者の肖像」というサブタイトルが付されていますが,その「経済学者」とは竹中平蔵のことです(以下「竹中氏」)。前にもこのブログで触れたことがあるのですが,あの小泉内閣の時の「構造改革」や「郵政民営化」の本当の意味,そしてその内閣の閣僚として得意満面に大なたを振るっていた竹中氏の果たした役割と真の目的はいったい何だったのかという疑問を当時から私は抱いていたのですが,「平成経済20年史」(紺谷典子著,幻冬舎新書)という本とこの「市場と権力」という本の内容を読み,自分なりに何となく理解できたのです。腑に落ちたのであります。

 

 竹中氏が第二次安倍内閣で産業競争力会議の民間議員に登用されたこと,さらにはその後に国家戦略特区諮問会議の民間議員にも就任してしまったことに,私は危険性を感じてしまうのです。

 

 悪口ばかりになって読みづらいとは思いますが,私はまずはこの人物そのものが全然好きになれなくて・・・(笑)。竹中氏は昭和59年7月に「研究開発と設備投資の経済学 経済活力を支えるメカニズム」(東洋経済新報社)という本を出しているのですが,この本の価値を高め,そこで引用されている研究成果(エイベルの投資理論を日本経済に適用した実証研究)が鈴木和志(現.明治大学教授)という日本開発銀行の2年先輩との共同研究によるもので,しかもその鈴木は本を出すのなら連名でと予め希望を述べていたにもかかわらず,竹中氏は彼を出し抜く形で単名で出版してしまったのです。苦労して共同研究に励んだ鈴木和志がこの事実を知らされて非常なショックを受け,恩師(宇沢弘文)や同僚のいる前で思わず泣き出してしまったというエピソードが紹介されています(同書60頁)。

 

 また,実質的にはアメリカへの私的な長期出張に過ぎないのに,その費用を官房機密費から出させようと画策したこと(同書120頁),ある評論家の意見を自分の意見として取り込むために,「子どものころに親から聞かされた」という話をでっちあげたこと(同書322頁),在籍する慶應義塾大学の教授になかなかなれず,博士号(学位)を取得していなかったことがそのネックになっていたところ,人脈(佐貫利雄)を使って同大学の重鎮(加藤寛)に働き掛けて学位を得ようとしていたこと(同書104頁),大手住宅メーカーのミサワホームが竹中氏策定の不良債権処理策「竹中プラン」で結果的に産業再生機構入りとなり,トヨタ資本のテコ入れでトヨタ系列の住宅メーカーに生まれ変わった後にミサワホームの社長に就任したのが竹中氏の実兄である竹中宣雄であったことが物議をかもしたこと(同書311頁),などなど・・・。

 

 また長くなりますので突如として端折ってしまいますが(笑),小泉・竹中の「構造改革」や「郵政民営化」なるものは,日米構造協議や年次改革要望書等でアメリカから次から次に突きつけられる要求(要するにアメリカに市場を開き,グローバル企業の商売を日本でやりやすくすること)に唯々諾々と従って日本の国益を損なったことは間違いないと思うのです。そして,竹中氏という人物は徹底した新自由主義者であり,自らをラリー・サマーズ(前回のこのテーマのブログ記事をご参照ください)の友人と称していることからもわかるとおり,ケタは違いますものの,ウォール街の強欲投資銀行らの役員,多額の報酬をもらってその商売に迎合した「見識」を示す経済学者(こういうのを疑似科学というのでしょう),ロビイスト,「回転ドア」人事の当事者,政策を売るシンクタンク関係者らと同じ立ち位置にある方ではないかと思うのです。

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