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2009/02/16

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 夜にお風呂に入るときは入浴剤を入れている。クナイプの岩塩入浴剤を楽しんだり,日本の温泉入浴剤を楽しんだりしている。昨夜は箱に10袋くらい入った温泉入浴剤をバラバラにして,目をつぶって「今日はコレ!」と選んでバスタブに入れた。昨夜目をつぶって選んだのは「那須塩原温泉」だった。2年前に旅行で行った温泉だ。歴史が古く,文人墨客も愛した名泉である。

 

 亡き大平正芳元首相は,休日や旅行の際には読みたい本を何冊も持って,本当に嬉しそうに旅行先などで読書を楽しんだそうだが,僕も昔から読みたい本を温泉場でゆっくりと味わうのを至上の喜びとしてきた。那須塩原温泉で思い出したが,この時に読んだ本の素晴らしかったこと!

 

 その本のタイトルは「逝きし世の面影」(渡辺京二著,平凡社ライブラリー)である。この本の価値は,僕の拙い言葉,表現力では到底伝えきれない。感動したし,繰り返し何度も読み返したい。この本は,開国前後に日本に訪れた外交使節,通訳,学者,旅行者らによって表現された旅行記,日本人評,日本文明評などを紹介し,著者自ら「失われた文明」を深く考察しているものである。その当時確かに存在した文明を初めて目にし体験した異邦人による評価の方が,より鮮明かつ客観的にその特徴を浮き彫りにできるのではないだろうか。礼儀正しさ,優しさ,質素,清潔,明るさ,子供たちの可愛らしさ。「いいことづくめで,どうなのよ。」と引いてしまう方もいるかと思うが,例えば,「第十章 子どもの楽園」の中から,若干引用してみよう(411頁以下)。

 

「チェンバレンの意見では、『日本人の生活の絵のような美しさを大いに増している』のは『子供たちのかわいらしい行儀作法と、子供たちの元気な遊戯』だった。日本の『赤ん坊は普通とても善良なので、日本を天国にするために、大人を助けているほどである。』モラエスによると、日本の子どもは『世界で一等可愛いい子供』だった。かつてこの国の子どもが、このようなかわいさで輝いていたというのは、なにか今日の私たちの胸を熱くさせる事実だ。モースは東京郊外でも、鹿児島や京都でも、学校帰りの子どもからしばしばお辞儀され、道を譲られたと言っている。モースの家の料理番の女の子とその遊び仲間に、彼が土瓶と茶碗をあてがうと、彼らはお茶をつぎ合って、まるで貴婦人のようなお辞儀を交換した。『彼らはせいぜい九つか十で、衣服は貧しく、屋敷の召使いの子供なのである。』彼はこの女の子らを二人連れて、本郷通りの夜市を散歩したことがあった。十銭ずつ与えてどんな風に使うか見ていると、その子らは『地面に坐って悲しげに三味線を弾いている貧しい女、すなわち乞食』の前におかれた笊に、モースが何も言わぬのに、それぞれ一銭ずつ落とし入れたのである。この礼節と慈悲心あるかわいい子どもたちは、いったいどこへ消えたのであろう。しかしそれは、この子たちを心から可愛がり、この子たちをそのような子に育てた親たちがどこへ消えたのかと問うこととおなじだ。・・・・・・・」

 

 これは当時の子供たちの様子に触れた箇所であるが,その他の章(テーマ)においても,このような描写,表現が至る所に散りばめられている珠玉のような名作だ。日本人には,その根底部分には,その心性として,惻隠の情,敵に塩を送る思いやり,卑怯を憎む心,礼節,潔さなどがあって,それらはまだ残っていると信じたい。著者は,本書を著した意図について「私の意図はただ、ひとつの滅んだ文明の諸相を追体験することにある。」(65頁)と述べているが,僕なんかは追体験するにとどまらず,かつてあった文明の良い面は何とか復活して欲しいと切に願う一人なのである。

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