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弁護士ブログ

2024/02/02

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最近では休日に「AbemaTV」で将棋や麻雀の番組を楽しむことが結構ありますが,日曜日に何気なくチャンネルを操作していましたら,たまたま「なつかしアニメ80’s」という番組で「忍者ハットリくん」が放送されていました。いやー,本当に懐かしいわ(笑)。私は忍者ハットリくんの顔が大好きで,本当に可愛いのです。弟のシンゾウも。

 

でもいつだったかもう記憶にありませんが,かなり昔に「忍者ハットリくん」が実写化され,生身の人間が演じる映像を見て,とてつもない違和感を覚えた経験があります。漫画やアニメのイメージと全然違うのです。その時私は,テレビドラマや映像として実写化することが必ずしも成功するとは限らないのだなとつくづく思いました。何と言いますか,表現が難しいのですが,原作漫画はそれだけで自己完結的に小宇宙を構成し,その世界だけで満足なんだというものが絶対にあると思います。

 

実写化といえば,最近漫画「セクシー田中さん」の原作者の芦原妃名子さんの訃報が報道され,状況からして自裁ではないかと言われており,各界に大きな波紋を広げています。私は「セクシー田中さん」という漫画も原作者の芦原さんのことも,それまで全く知らなかったのですが,調べてみますとこれまで人気作品を数多く世に出し,素晴らしい業績を残されています。50歳というまだ漫画家として働き盛りであったのにこのような不幸な結末となり,本当に心が痛みます。

 

経緯の詳細,そして真実は分かりませんので,勿論私も軽々なことは言えませんが,これまで報道されている内容からすれば,やはり原作者とドラマ化した日本テレビ(プロデューサー)・脚本家との間で相当の軋轢が生じていたことは間違いないようですね。関係者間の鬩ぎ合いとでも言うのでしょうか。

 

ドラマ化を許諾するに当たって,原作者は「必ず漫画に忠実に」,漫画がまだ完結していない以上は,ドラマオリジナルの終盤についても未完の漫画に以後の影響を及ぼさないように「原作者があらすじからセリフまで」用意する,場合によっては原作者が脚本を執筆する可能性があることなどが条件とされていたということのようです。

 

しかしながら,原作者のX(旧ツイッター)によれば「毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本が提出されていた」ようであり,全10話のうち第1話から第8話まで原作者が加筆修正などして相当に疲弊し,第9話と第10話については時間的制約がある中で原作者自身が脚本を書くという異例の事態になっていたようです。

 

原作漫画が実写化(ドラマ化)する過程では,当然ながら複数の関係者が関与しそれぞれの立場というものがあります。主に漫画の原作者,出版社,テレビ局のプロデューサー,脚本家です。これは一般論ですが,漫画の原作者にも原作への愛情,こだわりが強く,原作から少なからず逸脱した場合にはこれを許容できないタイプもいれば,実写化されるのであれば自分のビジネスにも結び付く,そこそこ内容的に改編されても基本的には映像のプロにお任せするというタイプもあるでしょう。

 

一方,テレビ局のプロデューサーは最高責任者であって,予算,スケジュール,キャスティング,脚本家,演出家などを統括する立場です。スポンサーなどの手前視聴率を考え,どうやったら視聴者受けがするかを熟知した映像コンテンツ製作のプロなのですから,いきおい現場は自分に任せて欲しいということになります。

 

さらに,脚本家としては,やはり作家なのですから,一応原作に忠実であろうとはするものの,作家のプライドとしてある程度は自分のオリジナリティーを出したい,原作そのものを文字化するだけなら脚本家の存在意義が失われるという意識があるでしょう。

 

報道されている経緯からすれば,原作者の芦原さんはやはり「セクシー田中さん」という作品に,当然のことながら自己の分身(自分の子ども)ともいえるほど愛着があり,一定以上は譲歩できないという強いこだわりがあったのだと思いますし,それは私も十分に理解できます。多くの漫画家がそうであるように,机に向かってコツコツと作品を練り上げ,繊細な職人タイプだったのではないでしょうか。

 

今回は当然契約が存在したのでしょうし,契約内容はもちろん私には分かりませんが,一般的に原作者には著作者人格権というものがあります。この権利が内包するものの一つに,著作者は著作物の内容やその題号を勝手に改変されない同一性保持権があります。もちろん第1話から第8話までもこの著作者人格権の侵害はないのでしょうが,原作者の芦原さんはこの著作者人格権(同一性保持権)を文字どおり保持するために脚本に手を入れたり,再三にわたって要望を伝えるなどして疲弊してしまったのかもしれませんよ。いずれにしても,このたびのことは返す返すも残念です。

 

ネットで調べていましたら,関連した記事が出ていました。漫画「おせん」が2008年に日本テレビでドラマ化されたことがあり,これも原作内容からむちゃくちゃに逸脱した内容の脚本,番組づくりがなされたことが問題となり,原作者がこれにショックを受けて一時的に漫画の連載が中断したという出来事があったようです。

 

今回日本テレビのドラマ「セクシー田中さん」の公式サイトで,各回の脚本は原作者の意見をもらいながら話し合いを重ね,許諾をいただいた脚本を決定原稿として放送したという趣旨のコメントが発表されていますが,今後の再発防止のため今回の製作過程について虚心坦懐に調査し,改善すべき点は改善するなどしていくことが自局のためになるのではないでしょうか。また,これも一般論ですが,当然脚本家も作家である以上オリジナリティーを発揮したいでしょうが,原作に全く拘束されたくないのであれば,何もないところから一からオリジナル作品を自ら創作することも一考です。

 

今回は,長文誠に失礼いたしました。

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