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弁護士ブログ

2012/11/26

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 ここ数日の民主党の野田代表と自由民主党の安倍総裁の言動に接してつくづく思いましたのは,政治家としての見識と覚悟という面で,野田代表と安倍総裁とでは大人と子どもほどの差があるなということです。痛感したといってもよいくらいです。どちらが大人でどちらが子どもですって?そんなこと,言うまでもなく安倍総裁が大人で,野田代表が子どもです。とりわけ経済問題(財政・金融政策)については両者の見識の差は歴然としております。

 

 例えば,野田代表は,最近の安倍総裁の経済問題に関する発言について,デフレ脱却を目指した2%程度のインフレ目標政策や国債の買いオペを非難し,さらには「日銀の独立性」を死守すべきであるかのようなことを言っております。野田代表は得意満面に「ハイパーインフレのおそれ」などとも述べております(爆笑)。彼は本当に何も分かってはおりません。デフレ容認の財務官僚の走狗といわれるゆえんです(笑)。ハイパーインフレーションという現象は,フィリップ・ケーガンの定義によると,インフレ率が毎月50%を超えることとです。インフレ率が毎月50%も上昇し続けると1年後には物価が130倍になる,インフレ率が13000%になるという超異常現象ですよ(笑)。リヤカーいっぱいのお札でバター1個を買うような・・・。終戦直後の日本でもハイパーインフレの水準にははるか遠く及びません。野田という人は一体全体何を言っているんでしょうか。バカな取り巻きに耳打ちされ,「あっ,このフレーズは使える!」てなもんでしょう。

 

 それに「日銀の独立性」といっても,中央銀行の独立性には「目標の独立性」と「手段の独立性」の2つの意味があります。中央銀行には「手段の独立性」はあっても「目標の独立性」まではないのだ,というのが世界の常識です(高橋洋一著「官愚の国」199頁以下,祥伝社)。手段だけでなく目標まで自由に決められる,宿題の量を自分で決められるとなったら,誰だって楽な目標,宿題を決めたがるじゃないですか。特にぬるま湯体質の日銀ではなおさらです。のび太似の白川総裁なんて,いつも景気や雇用や国民の暮らし向きなんか所詮他人事みたいな顔をして,何もしないままです。世界の中央銀行のトップは政府が決めた目標あるいは自らが決めてコミットした目標を達成できなかったら,確実に責任を取らされます。アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の議長だってしかりです。でも日銀総裁はそのような責任は取りません。だてに3000万円を優に超す報酬が保障されている訳ではないのというのに。

 

 この「目標の独立性」と「手段の独立性」の関係などについて,心ある経済学者の一人である岩田規久男教授は次のように述べております。

 

 「・・・私たちがまずしなければならないことは、インフレ目標政策を導入することである。具体的には、日銀法を改正して、政府が物価安定目標を決定し、日銀にその目標を中期的に(1年半から2年程度の期間)達成することを義務付ける、ということである。ただし、物価安定目標の達成手段の選択は日銀に任せ、政府は口を出さない。このように、日銀法を改正すれば、世界標準の中央銀行と同じように、日銀の政府からの独立と役割が定まる。」(岩田規久男著「日本銀行デフレの番人」195頁,日経プレミアシリーズ)

 

 ですから,安倍総裁が日銀法の改正に言及したのは極めてまっとうなことなのです。それに安倍総裁が言及した2%程度のインフレ目標政策や建設国債の買いオペについても,この20年近くも続くデフレ脱却のためには極めてまっとうな処方箋であり,御用学者以外の,しかも心ある経済学者はみんなそのように述べております。

 

 安倍総裁は自分のホームページでもテレビ番組でも公開しておりましたが,経済学(国際金融論)の泰斗,イェール大学の浜田宏一教授から安倍総裁のもとに激励のファックスが送られてきたということです。そのファックスの一部を引用しておきましょう。

 

 「日銀法改正以来、日本経済が世界諸国のほぼテールエンドの足跡を示していることから、そこでの金融政策が不十分であったことは明らかです。日本経済の好ましくない症状として、デフレ、円高という貨幣的な症状が出ているのですから、それに対するのは金融拡張が当たり前の処方箋です。野田首相は、金融に訴えるのは世界の非常識といわれますが、〈Wall Street Journal〉金融に訴えないという議論こそ、現在の世界の経済学から見れば非常識です。野田首相は、地動説の世界で天動説〈日銀流金融理論〉を信奉しているようなものです。このことは、最近私がマンキュー、ハバード,ノードハウスなど超一流学者とインタビューして確認しました。政策手段としてはインフレ目標が望ましいと思います。(中略)これだけ長いデフレが続いて、人々のデフレ期待が定着している日本経済に活を入れるのは、安倍総裁の2~3%がまさに適当といえると思います。(中略)言い換えれば日本経済の奇跡的成長は穏やかなインフレと共存していたのです。そして日銀はインフレが昂進しそうになればいつでも制御した実績があります。このような歴史から見れば、デフレを克服するとハイパーインフレになるというのは非現実的な脅しに過ぎないのです。ゴルフにたとえれば、今の日銀は雇用改善、景気回復という目標のホールを目指さずに、ホールの向こう側には〈ありもしない〉崖があると称して、バンカーに入ったボールをホールの方向に打たない、あるいはパターでしか打たないゴルファーのようなものです。」

 

 安倍総裁のインフレ目標等の発言で,見事に市場は反応しました。デフレを脱却するには,穏やかな「インフレ予想」を醸成していくことと,しかるべき人や機関がコミット(説明をして当該説明内容に責任を持つこと)することが極めて重要です。これに反応した市場では,株価は9300円を超えましたし,円安基調となりました。政治家は経済問題(財政・金融政策)も十分に勉強していなければならないでしょう。このように安倍総裁と野田代表とでは,その見識や覚悟という面で,両者間に明らかに大人と子どもほどの差があると言わざるを得ません。

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