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弁護士ブログ

2010/05/18

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 僕が初めて将棋を覚えたのは,中学2年生か3年生の頃だったと思う。クラスメートや近所の友人とやっているうちに,だんだんと没頭するようになってしまった。こんな面白いゲームがあったのかと・・・。高校に入ると,将棋熱がますますエスカレートし,勉強もそこそこに,「将棋世界」や「近代将棋」などといった雑誌を買ってきては,プロ棋士の棋譜を並べたりしていた。

 

 僕の将棋熱のピークは高校時代であり,その頃は多くのプロ棋士に憧れ,毎週日曜日に放送されていたNHK杯戦は何があっても絶対観ていたし,テレビの前に盤を置いて棋譜読み上げの声に合わせて駒を並べていたものだ。その当時活躍していたプロ棋士の中でもとりわけ好きだったのは加藤一二三元名人である。18歳でA級八段に上り,20歳で名人戦挑戦権を得たように,加藤元名人は「神武以来の天才」と言われた。その後も将棋界で活躍し,名人をはじめタイトルも獲得した。才能の割りにタイトル獲得数に恵まれなかったのは,全盛期をむかえていた大山康晴第15世名人という巨人の存在があったからとも言われている。僕としては,いろんなプロ棋士に憧れたが,その独特のしぐさや「伝説」もあって,加藤元名人を特に応援していたのである。

 

 その加藤元名人が,先日,自宅敷地内での野良猫への餌やりの問題で地域住民から提訴され,餌やりの差し止めと,約200万円の慰謝料支払を命じられたそうだ。誠に残念なことである。加藤元名人としては,野良猫の命をつなぐために信念として餌やりを続けていたのであろうが,やはり社会人でもあるのだから,自重すべきであろう。将棋でいえば,無理筋なのである。特定行為の差し止めが認められたり,慰謝料支払を命じられるということは,やはり客観的には近隣住民の受忍限度を超えていたと裁判所も判断したからに他ならない。もちろん控訴審の判断を仰ぐのはかまわないが,加藤元名人は,差し止められたのはあくまでも敷地内での餌やりだからという論法で,敷地外で今後も餌やりを継続するようなことをコメントしている。僕としてもずっと応援していた一ファンとして憂慮している。それは「悪手」ではないかと・・・。


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