離婚・相続・家事一般

はじめに

 弁護士としてのこれまでの実務経験で,離婚,相続,その他の家事事件に関する法律相談,事件処理はとりわけ多い分野の一つです。家族は社会を構成する最小単位ではありますが,社会の基礎,土台となるもので,夫婦,親子,遺産の承継などをめぐる法的問題は適切に解決されなければなりません。「法律は家庭に入らず」の法格言があるように,これらの問題は何よりも家族をはじめとする当事者同士で円満に解決されるにこしたことはありませんが,やむを得ず合意に至らない場合などには,自分だけで悩まず,どんなことでも法律の専門家である弁護士にご相談ください。ご相談いただくだけでも,きっと有益なアドバイスが得られるはずです。

離 婚

 離婚に関するご相談としては,「そもそも離婚すべきかどうか悩んでいる」,「離婚するとして,今後どのように進めていけばよいのか」,「離婚に当たって,どのような請求が可能なのか」などといったご相談がほとんどです。以下,これらのご相談内容に対する大体のみちしるべとして,簡単にご説明いたします。

① 離婚原因について
 まず,ご相談者からのご質問に対し,弁護士は今後の見通しなどを含めたあらゆる角度からの法的アドバイス,情報提供を行いますが,離婚を決意するかどうかは最終的には自分なのです。
次に,②の離婚手続のうち,当事者で合意ができる協議離婚の場合や,調停手続中に合意に至る調停離婚の場合には,特に法律が定めた離婚原因は必要ありません。しかし,離婚の合意に至らず,裁判で離婚を認めてもらうには,法律が定めた次のような離婚原因が存在しなければなりません(民法770条1項1号~5号)。
ア.配偶者に不貞行為があったとき
 →配偶者(夫や妻)が浮気(肉体関係をもつこと)したときです。
イ.配偶者から悪意で遺棄されたとき
 →配偶者が自分を見捨てて生活費を全くくれないときです。
ウ.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
エ.配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき
オ.その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
 →配偶者に対する頻繁な暴力・暴言,度を超した借金癖・浪費癖,家庭生活を二の次にした宗教活動への没頭など,このままでは婚姻生活を継続できないような重大な事態が生じているような場合です。「性格の不一致」という言葉がよく使われますが,「ソリ(ウマ)が合わない」といった程度で離婚が認められることはないものの,その「性格の不一致」が,相当期間の別居という事態を生じさせたり,その他暴力・暴言,非協力,嫌がらせなど,婚姻生活に支障が生じるなどの程度に至った場合には,最終的に離婚が認められることもあります。

☆ただ,私の弁護士としての経験から,既に「性格の不一致」から別居が開始され,相手方とどうしても離婚したい場合には,決定的な離婚原因がないからといってあきらめる必要はなく,調停申立,訴訟提起も試みるべきだとアドバイスしています。というのも,調停手続で離婚を前提とした調停が成立する場合も多くありますし,訴訟になっても約6割は和解で終了しているのが実情だからです(現在は和解離婚という手続もあります。)。要するに,仮に,離婚原因がないとして離婚に応じない一方当事者が勝訴したからといって,他方に同居を物理的に強制することはできず,別居の現状に何ら変化はなく,形骸化した夫婦関係が戸籍の上だけで継続していることの空しさが,訴訟等を通じて自覚されるからです。

② 離婚の手続について
ア.協議離婚
 →夫と妻が協議によって離婚届用紙に署名,捺印し,役所に届け出ることによって成立します。
イ.調停離婚
 →調停申立がなされた後,調停手続中で夫と妻が離婚に合意に達し,調停調書謄抄本により離婚届出がなされるケースです(また,調停条項上,協議離婚という形式がとられる場合もあります。)。
ウ.裁判離婚(和解離婚)
 →判決で離婚が認められ,判決により離婚届出がなされるケースです(また,訴訟手続で和解が成立し和解離婚という形式がとられる場合もあります。)。

☆協議離婚の場合でも,財産分与や養育費の支払をより確実にするために,合意内容を公証役場で公正証書という形で作成しておくことをお勧めします。

☆当事者が合意に達しないということで協議離婚ができない場合でも,いきなり訴訟を提起することはできず,まずは調停申立をしなければなりません(調停前置主義)。

③ 離婚に当たっての取り決め事項,請求項目について
ア.子の親権者の指定
 →未成年の子がいる場合には,協議離婚に当たっては必ず親権者を決めなければならず,これを決めなければ届出が受理されません。その他の離婚手続においても必ず子の親権者が指定されます。
イ.財産分与
 →財産分与請求権の内容としては,Ⅰ.婚姻期間中に夫婦共同で築き上げた財産の清算的意味,Ⅱ.離婚後の他方の扶養的意味,Ⅲ.他方への慰謝料支払としての意味の3つがあります。具体的な割合や金額については,婚姻期間の長さ,財産状況,相手方の資力などを総合的に判断して決められます。
ウ.慰謝料
 →婚姻関係の破綻について責任のある一方当事者に支払義務が生じたりするものであり,その金額も諸要素を考慮して決定されます。
エ.養育費
 →離婚の際に未成熟子がいる場合,養育する側に対して支払われなければならない費用です。

☆そのほか,年金分割制度を活用すべき場面があり,これも弁護士がお手伝いできる場面でしょう。
☆なお,この離婚の問題についても,費用面を含めていろいろとお知りになりたいことがあるでしょう。これらの点については,「FAQ(よくあるご質問)」のページや「弁護士費用」のページにアップしておきましたから,これらを参照していただきたいと思いますし,お気軽に弁護士にご相談ください。

相 続

  相続に関するご相談としては,「相続人の範囲はどこままで,そもそも私の相続分はどうなるの」,「遺言書では,私には全く遺産が与えられない内容になっていたんですが,私には何にも権利がないの」,「兄は父の生前いっぱい財産をもらっているのに,その点が考慮されないのは不平等」,「遺産分割をめぐって相続人の間でなかなか話がまとまらない,今後どのように進めていけばよいのか」などといったご相談がほとんどです。以下,これらのご相談内容に対する大体のみちしるべとして,簡単にご説明いたします。

① 相続人の範囲と相続分について
ア.相続人の範囲
  相続人の範囲を考えるには,次のような順番で考えていけばよいでしょう。
  1. まず,亡くなった人(被相続人といいます。)の配偶者は,常に相続人になります。
  2. 次に,配偶者と並んでまず第1順位で相続人になるのは,被相続人の子です。
    →ただし,この相続が開始する前に子が亡くなっていれば,孫が,孫も亡くなっていればひ孫が相続人になります(このような相続のことを代襲相続といいます。)
  3. 次に,被相続人に直系卑属(子,孫,ひ孫など)が一人もいない場合,配偶者と並んで第2順位で相続人になるのは,直系尊属(父母,父母が亡くなっていれば祖父母)です。
  4. 次に,被相続人に直系卑属も直系尊属もいなければ,配偶者と並んで最終順位で相続人になるのは,兄弟姉妹です。
イ.相続分の割合
  相続分の割合は,遺言書がある場合には遺言書で決められたところによりますが,遺言書がない場合,法律で決められた相続分は,相続人の「組み合わせ」により次のとおりになっています。
  1. 配偶者と子     配偶者2分の1 子2分の1
  2. 配偶者と直系尊属  配偶者3分の2 直系尊属3分の1
  3. 配偶者と兄弟姉妹  配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1
☆相続分の割合について疑問がある場合には,相続関係に関する情報を提供し,弁護士にお尋ねください。

② 相続人間の公平を期する制度と遺留分について
ア.相続人間の公平を期する制度
  1. 寄与分
    相続人の中に,被相続人の家業を長年手伝ってきたり,療養看護したりして,相続財産の形成,維持に貢献してきた人がいた場合に,その人の寄与割合を認め,相続財産からその寄与割合を分割の対象から外し,実質的な公平を図る制度です。
  2. 特別受益
    相続人の中に,被相続人の生前,不動産や株券,現金などの贈与を受けた人がいた場合に,その贈与分を相続財産に持ち戻した計算をし,それを前提にして具体的相続分を決めることにより,実質的な公平を図る制度です。
イ.遺留分
  遺言者は遺言をすることによって,自分の死後の相続財産の分割割合を自由に定めることができますが,法律は,兄弟姉妹以外の法定相続人に,遺言の自由によってもどうしても侵害されない最低限の権利を保障しました。これを遺留分といいます。
遺言者(被相続人)がこの遺留分を侵害する内容の遺言をしたり財産の処分をしてしまった場合,遺留分を侵害された者は,侵害する内容の財産の譲渡を受けたりした者に対し,その侵害された限度で返還を求めることができます。これを遺留分減殺請求権といいます。

③ 遺産分割の進め方
  何よりも,相続人間で円満な協議(話し合い)をこころみ,合意に達すれば,遺産分割協議書を作成し,これにしたがった分割(登記手続なども含みます。)を行えば良いのです。
しかしながら,事前の話し合い自体に無理な雰囲気があったり,相続人間でなかなか合意に達することができないという場合には,家庭裁判所に対し,遺産分割調停遺産分割審判の申立をすることになります。

☆なお,この相続の問題についても,費用面を含めていろいろとお知りになりたいことがあるでしょう。これらの点については,「FAQ(よくあるご質問)」のページや「弁護士費用」のページにアップしておきましたから,これらを参照していただきたいと思いますし,どんなことでもお気軽に弁護士にご相談ください。

家事事件一般

 家事事件というのは,離婚や相続に関する問題だけでなく,多岐にわたります。成年後見の問題は別にご説明しておりますので,以下,思いつくままに挙げてみたいと思います。
  • 婚約の不当破棄の問題
  • 内縁関係の不当破棄の問題,内縁関係をめぐるその他の問題
  • 不貞行為の相手方に対する慰謝料請求
  • DV(ドメスティック・バイオレンス)被害救済の問題
  • ストーカー被害救済の問題
  • 子の養育費支払がない場合の強制執行申立
  • 子の親権者変更審判申立
  • 子の面接交渉権をめぐる問題
  • 不在者財産管理の問題や失踪宣告の問題
  • 遺言書の作成と遺言執行者としての執行  など
☆以上のような離婚,相続以外の家事事件についても,法律の専門家である弁護士は適切なアドバイスをすることができますし,事件処理を通じてお手伝いをすることができます。一人で悩まず,お気軽に弁護士にご相談ください。