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弁護士ブログ

2021/10/05

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自民党総裁選も終わり,新内閣が発足しましたね。その総裁選の結果ですが,河野太郎氏が選出されなかったのは何より不幸中の幸いでした(笑)。くどいようですが,こういう人が日本国の首相になってはいけない。もっとも,実はかつては,あろうことか鳩山由紀夫や菅直人がそういう地位を占めたこともある訳ですから,連綿たる日本国の歴代宰相の歴史としてはもう失うものがないのですがね(笑)。

 

さて,恐るべき世論調査の結果からすれば,先の総裁選では党員・党友票で圧倒すると思われていた河野氏が第1回投票では1位になるのは確実と予想されていたのですが,ふたを開けてみたら2位に終わりました。さらに,河野氏は党所属国会議員票では高市早苗氏にも軽々と抜かれ,3位に甘んじました(86票に過ぎません)。下馬評とは大いに相違し,河野氏サイドとしては,さては投票の約束を取り付けていた人々にも一部裏切られてしまった,寝返られてしまったというのが実情かもしれません。

 

それにしても総裁選の投開票の翌日,9月30日付けの産経新聞「産経抄」の内容はとても面白いものでした。裏切り,寝返りという文脈で,菊池寛の「入れ札」という短編小説に言及していたのです。興味を持ったので,どんな小説なのか調べてみました。以下のとおりです。

 

代官を斬り殺した国定忠治は捕縛から逃れるために,上州・赤城山から榛名山を越えて,信州へ下っていくべき運命にありました。そう,「赤城の山も今宵かぎり」の国定忠治です。一行は親分の忠治を入れて12人。子分は11人ですが,全員連れて行く訳にはいかない。忠治としては,3人ほどの子分を連れ,その他の子分達にはそれなりのお金を与えて銘々思い通りに落ち延びさせてやりたかった。でも忠治としては,本当は共にしたい意中の子分(3名)はいたのだが,自分の口からはその名を言い出せない。子分達の意見を聞くうちに,忠治は「入れ札」という手段を思いついた。

 

その「入れ札」のルールは,本当に忠治(親分)の御供としてふさわしい子分の名1名をそれぞれ子分達に札に書かせ(自分の名を書いてはいけない),いわば自民党総裁選のように投票し(笑),札数の多い者から上位3人を連れて行くというもの。その方法を「やばいなー。いやだなー。」という気持ちで聞いていたのが,子分の中では古参,年長で第一の兄分とされていた稲荷の九郎助だった。彼は一応他の弟分からは「阿兄!(あにい)」と立てられてはいたものの,実際には人望がなく内心では軽んじられていたし,そのこと自体は九郎助も自覚していた。九郎助としては,やはり古顔の弥助からは「好意のある微笑」を投げかけられ,自分に1票投じてくれるとしたらこの弥助くらいかなと半ば諦めていた。でも自分のプライドを保つため,そして他のライバル(人望のある浅太郎)に対する嫉妬心から,思わず「くろすけ」と自分の名前を書いた(掟破りの自己投票)。

 

さて,いよいよ開票・・・。子分から入れられた11枚の札は,浅太郎に4枚,分別盛りの軍師・参謀格である喜蔵に4枚,怪力の嘉助に2枚,九郎助に1枚という結果だった。お供をする子分は忠治の意中どおり,浅太郎,喜蔵,嘉助に決定した。九郎助としては,「好意のある微笑」を投げかけた弥助の1票と自分で入れた1票で何とか選ばれることを期待したが,実際には弥助からも裏切られ,寝返られたのだ。その悔しさと自分で入れた後ろめたさや卑しさの気持ちでいたたまれなくなった。

 

忠治は3人の子分を連れて信州方面へと出発。その他の子分は銘々の方角へ。九郎助としては秩父の縁者を頼ることにしてトボトボと歩き始める。そうしたところ,あろうことか裏切った弥助が九郎助に同道を頼み,その道中,述べた言葉が九郎助を激怒させ,思わず殺意を覚えさせたが,九郎助はグッと我慢しなければならなかった。弥助は「親分があいつらを連れて行くのは納得できねえ。11人のうちでお前(九郎助)の名前を書いたのはこの弥助1人だと思うと、奴等の心根がわからねえ」と述べたのである。大嘘(笑)。

 

無記名投票なので(笑),九郎助としては弥助が九郎助に1票入れたと大嘘を言っていること,裏切ったことを暴くことができません。それを暴き,立証するには九郎助自身がルールを破って「くろすけ」と自分に1票を投じたことを告白するしかなく,それも自分の恥をさらすことになり,ますます惨めになってしまうからです。

 

菊池寛の「入れ札」はそんなお話でした。人間の弱さ,醜さを浮き彫りにしたどこか切ない作品です。

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