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弁護士ブログ

2016/10/11

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本を読んでいて思わず笑ってしまうということはたまにあるのですが,噴き出してしまうほど爆笑したという経験はそんなにはありません。でも,一昨日実際にそういうことがありました(笑)。

 

「表現者」(発行所:MXエンターテインメント,編集:西部邁事務所)という雑誌は隔月刊なのですが,私は愛読していますし,この本は部数はそれほど多くはないのですが一般書店でも手に入ります。いつ読んでもためになる記事が多いと思います。この雑誌の「表現者」という書名のすぐ上には「『保守』の本質に立つオピニオン誌」というキャッチフレーズがあります。一度お読みいただければこの本の良さが分かります(笑)。

 

リオデジャネイロ・オリンピックに熱狂していたころ,中国は,日本固有の領土である尖閣諸島周辺の海域に,20隻以上の中国公船とともに400隻以上の中国漁船を繰り出しています。中国漁船といえども,その中には訓練を受けた多数の海上民兵が乗り込んでいます。また,最近では中国の船舶の領海侵犯が半ば常態化するという由々しき事態に立ち至っており,日本の領海,島嶼の安全保障は本当に大丈夫なのでしょうか。自分の国を自分で守ろうともしない日本人のために,アメリカは本当に命をかけて守ってくれると本気で思っているのでしょうか。

 

さて,本を読んでいて思わず噴き出しそうになったというのは,一昨日,「表現者」第68号(平成28年9月1日発行)の中の伊藤貫さんと西部邁さんの対談記事に出くわした時です(笑)。思わず噴き出してしまった対談内容というのは,次の箇所です(同書90~91頁)。

 

西 部「日本にだけは核を持たせたくないというのは、アメリカへの報復を恐れてとか、そんなバカげたことではなく、日本が核を持たない限りは、アメリカに付き従うだろう、アメリカに助けを求めるだろうと。そればかりでなく単に軍事問題のみならず経済的にも政治的にも、日本はアメリカの属国であることに甘んじるであろうということですよね。自分たちの核の傘、それもかなり敗れ傘になってはいますが、日本は核がない限り、アメリカさま、アメリカさまと頼りにするだろうと。そういう意味では、teritory、つまり選挙権のない準州、日本をteritoryにしておきたい、そのために日本には核を持たすなという計算なんでしょうね。」
伊 藤「その通りです。その考えが最も明瞭に説明されていたのが、ソ連崩壊直後の一九九二年二月に作られたDefense Planning Guidanceという機密文書です。そこには、ロシアと中国がアメリカと競争できるライバル国になることを阻止すると書いてある。その次に重要なのが、EUが独立した国際政治の極になることを阻止する、特にドイツを真の独立国にしないということ。そして、日本には自主防衛能力を持たせない、永遠に米国の保護領にしておくと説明してある。彼らが構想した対日支配戦略とは、日本をアメリカに依存せざるをえない外交・軍事体制に組み込んでおき、日本経済を、アメリカの金融業者や資本家がたっぷり金儲けできるように構造改革していこうというものです。日本の経済を利用して米企業と投資家が金儲けをし、しかも日本の自衛隊を米軍の補助部隊として使えるようにはするけれども、日本が独立できるような能力は持たせないということです。だから中国と北朝鮮が日本をターゲットにした核弾頭を何百発・何千発持とうが、日本人にだけは核抑止力を持たせない。これって、明らかに不正で不道徳な政策です。そういう対日支配戦略があるから、オバマがわざとらしく広島に来て、日本国民に対して『世界から核兵器をなくすために一緒に努力しましょう』などとお説教するわけです。僕がすごく不思議だったのは、英語で言うとmanipulation、狡猾に操作するという意味ですが、ここまでmanipulateされても気がつかないんですね、日本人は。一体、どういうことになっているんだろう。
西 部「猿なんじゃないですか(苦笑)。」

 

こういう訳です。西部邁さんも真に憂国の思いの発露として,こういった表現をされたのだと思いますよ。思わず噴き出しましたが,腑に落ちた件ではありました。

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